ディーゼルエンジンは1.9リッター!
参考出品されたエルフmioは、16年ぶりのフルモデルチェンジを機に新たに開発された標準キャブ、新小型トラックプラットフォーム「I-MACS」を導入する点はエルフと共通だが、エンジンは日本初登場の1.9リッター直噴ディーゼル、トランスミッションはトルクコンバータ式オートマチックと、パワートレインは全く異なっていた。
1.9リッターエンジン「RZ4E」型は、小型商用車向けに開発された1898cc直列4気筒DOHC16バルブ・インタークーラーターボ・電子制御コモンレール燃料噴射装置付エンジンである。日本市場では初導入となるものの、海外市場では2016年に登場しており、ピックアップトラック「D-MAX」やSUV「Mu-X」、そして欧州向けエルフ(Nシリーズ)で実績を重ねてきたものだ。
1.9リッターというと、まるで乗用車のエンジンみたいだが、いすゞが目指したのは、海外市場で広く用いられてきた2.5リッター直噴ディーゼル・4JA1型の後継となる、新世代の小型トラック用エンジンである。もちろん、エルフの3.0リッター直噴ディーゼル・4JZ1型エンジンに対しては、排気量が1.1リッターも小さく軽い。そのため強力な排ガス後処理装置を搭載しても、積載量が確保できる。
動力性能は未公表。参考として、欧州向けNシリーズのEuro-Ⅵステップd排ガス規制に対応したRZ4E-TCエンジンは、最高出力120PS/3000-3200rpm・最大トルク320Nm/1600-2000rpmで、排ガス後処理にリーンNOxトラップ触媒(LNT)、ディーゼル微粒子フィルター(DPD)、尿素選択還元触媒(SCR)を用いている。エルフmioもアドブルータンクを搭載していたので、それほど大きな違いはないと考えられる。
なお、RZ4Eのエンジン型式が、おなじみの「4JZ1」「4HK1」「6UZ1」といった表記になっていないのは、いすゞエンジンの新しいデジグネーションルールが適用されているためだ。
トルコン式ATの変速段数も未公表だが、欧州向けNシリーズにはアイシン製6速ATを搭載している。なお、欧州ではいすゞ製の軽量型6速マニュアルトランスミッションも設定しているが、エルフmioにおけるMT設定の有無は、現時点では不明である。
真の「新しい小型トラック」は積載と架装があればこそ
展示されたエルフmioの参考出品車は、シングルタイヤの高床シャシーに平ボディを架装したもので、最大積載量は「1300kg」(1.3トン)である。これは、GVW3.5トン未満のキャブオーバートラック、しかも最新の排ガス規制に適合するディーゼル車として「かなり上出来」のスペックだ。
また「高床」といっても、ストレートフレームをもつトラックシャシーながらフロア高は低く抑えられており、キャブの乗り降りは2トン積み系エルフよりも容易とみられる。そのうえで発売時には、後輪小径ダブルタイヤ装着のより低床なモデル「フルフラットロー」も設定するという話だった。
そして、展示車のそばには、新規投入予定として「エルフmioドライバン」の説明ボードが置かれていた。こちらはドライバン完成車(荷台ボディと荷台艤装品を架装した状態で販売するトラック)で、荷台は三菱ふそう系の車体架装メーカー・パブコが開発した、新コンセプトの軽量バンボディを採用する。最大積載量は未公表だが、1トン以上を狙っているという。
エルフmioドライバンは、全高から1ナンバー(普通貨物)車となるが、配送用途やレンタカー用途でよく使われているGVW5トン・積載量2トン車のスタイルを、AT限定普免でも運転可能として、その範囲で積載量1トンを確保するというコンセプトだ。見た目は単にアルミコルゲートパネル(波板)のハコを載せたトラックだが、これこそ新しい小型トラックのスタイルとなるかもしれない。