韓国といえばなにかと日本との軋轢も多く、なにかと大きなニュースになりがち。徴用工問題にレーダー照射問題など多くの問題を抱えるが、クルマ界隈ではどうだろう?
現在日本市場では韓国車の乗用車は正規販売されておらず、街中で見るのはもっぱらヒュンダイの観光バスくらい。
しかし海の向こう、アメリカやヨーロッパでは少しばかり事情が異なる。韓国車は今後どうなっていくのか。海外の状況を紹介しながら迫ります。
文:桃田健史、竹花寿実、国沢光宏、ベストカー編集部
写真:HYUNDAI、KIA、トヨタ
ベストカー2019年3月26日号
■アメリカじゃこんなに人気なのか、韓国車!
徴用工問題にレーダー照射事件、最近やたらと日本と問題が起こっているお隣さん。ちょっとでも解決方向に話が進むといいが根は深そうだ。
というわけで、とりあえずクルマ対決だ。相手は日本市場撤退を余儀なくされた国。きっと問題ないハズ、だ。まずはアメリカから見ていこう。
【TEXT:桃田健史】
日本ではすっかり姿を見なくなった韓国車が、日本車なみにウジャウジャと走っている。それが、アメリカの現状だ。
時計の針を少し戻すと2000年代中盤頃から韓国車の品質が一気に向上した。
韓国車メーカーはアメリカを中核として、世界市場における「打倒日本車」、「ワールドカーへの躍進」を掲げた。
ヒュンダイ・キアは日系や欧米メーカーからエンジニア、デザイナー、さらには経営陣を迎え入れ、商品企画と研究開発における改革を行ったのだ。
モデルラインナップは、Bセグメントから中型SUVと高級セダンまで、日本車とのガチンコ勝負に出た。
そうしたなかで、日本車との熾烈な戦いとなっているのは、アメリカ市場の稼ぎ頭であるC/Dセグメントセダンだ。
ヒュンダイ「エラントラ」のライバルは、トヨタ「カローラ」とホンダ「シビック」。
さらにひとまわり大きなヒュンダイ「ソナタ」とキア「オプティマ」は、「カムリ」「アコード」、そして日産「アルティマ」と全面対決。
2000年代までは、フォード「フォーカス」「フュージョン」、シボレー「クルーズ」「マリブ」が日本車対抗だったが、こうした業界図式を韓国車が一気に崩したかたちだ。
SUVでも韓国車が攻勢に出てきている。中型SUVでは、ヒュンダイ「サンタフェ」が人気で、トヨタ「ハイランダー」「4ランナー」、日産「パスファインダー」、そしてマツダ「CX-5」とのシェア争いが過熱している。
最近の市場動向で気になるのが小型SUVだ。最近はC/Dセグメントセダンからの買い替えが加速しているからだ。
ヒュンダイでは定番商品「ツーソン」のひとまわり小さな「コナ」の販売を強化し、「RAV4」と「CR-V」の牙城を崩そうとしている。
一方、ハイブリッド車では韓国車は苦戦している。ヒュンダイは過去3年間で、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、そしてEVを電動車ブランド「アイオニック」として相次いで発表。
だが、「プリウス」や「リーフ」と比べ、販売量は明らかに少ない。このように、アメリカでの韓国車は、一部のカテゴリーを除いて、日本車と同等の人気を誇る。
エクステリアとインテリのデザインセンス、エンジン性能、ハンドリング、乗り心地など日本車をターゲットに韓国車のカイゼンは日々進んでいる。
だが、最近では韓国本国での景気後退を受けて、アメリカ市場での韓国メーカーの動きにやや陰りが見えている状況だ。
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