大型連休も終わり、あとは梅雨をはさんで夏にまっしぐら。と言いたいところだが本年も電力需給ひっ迫の可能性は残されている。東京都交通局では節電対策の計画を段階的に策定し、今後の電力需給ひっ迫に備える。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■まずは節電対策を知っておく
東京都交通局では都営地下鉄や都営バスに関係する節電について電力需給ひっ迫注意報や警報の発令に対応して準備している。内容は平常時を含めて4段階に設定している。
まず平常時はすべてのサービスを提供するが、駅の照明やバス営業所の庁舎においては一部を消灯し、トイレのハンドドライヤーのすべてや駅の冷房の一部を停止して常時節電をしている。
電力需給ひっ迫注意報が発令されると、これら平時の節電に加えて駅の券売機を一部停止する。
さらに電力ひっ迫警報が発令されると、第一段階では注意報時に加えてさらに多くの券売機を停止し、トンネル内の換気設備を1日最大3時間停止させ電力消費を抑える。
そしてさらに需給がひっ迫する第二段階ではエスカレーターが複数台設置されている駅ではその一部が停止される。これらの節電対策と対応の内容を知っておくと、少し早めの行動で個々の時間がひっ迫することなく移動できるだろう。
■なんと自前で電気をつくっているのだ!
東京都交通局は多摩川に多摩川第一発電所、白丸発電所、多摩川第三発電所の3か所を自前で有しているので、最大出力の合計3万6千5百キロワットを有効に活用する。なお都営バスの全営業所はこれら自前の電力を使用している。
一部の都営地下鉄の駅やバス停では再生可能エネルギーでの小規模発電を行っており、当該バス停ではその旨が表示板等に記載されているので見かけた方も多いだろう。
■そして非常時に備えてためておく
東海道新幹線のN700S系電車はバッテリーを積んでおり、停電時には次の駅まで安全に自走できる仕組みなのはニュース等で多く流れていたのでご存じの方も多いだろう。
ところで都営地下鉄新宿線では東大島駅-船堀駅間が地上で橋りょう部になっている。非常時に停電すると橋の上で電車ごと取り残されることになる。これを防ぐため電力貯蔵設備を地上に設置して、全線で通電を確保している。
電力会社からの送電が停止した場合、直ちに貯蔵設備からの送電に切り替わり、駅間で停止した電車は次の駅まで安全に走行できるだけの電力を常時蓄えておく仕組みだ。
もちろん地下鉄車両も、例えば三田線6500形のような省エネタイプのものを採用し、都営地下鉄全車両で電力回生ブレーキを利用して減速時のエネルギーを電力として回収し、他の電車の走行や駅での電力消費に回される。