クルマと道路は切っても切り離せないもの。だから全ドライバーはもっと道路について知っておかねばならない。自動車評論家でありながら、交通ジャーナリストでもある清水草一が、毎回、最新の道路情報や、知っておくべき道路の知識をわかりやすく解説する当コーナー。今回は、7月22日から時間帯別変動料金制の試験導入が始まる東京湾アクアラインについて迫ってみた。
文/清水草一、写真/清水草一、フォッケウルフ
■通過するのに1時間40分かかることもある現状
この夏、7月22日から、東京湾アクアラインで、時間帯別の変動料金制が試験導入される。土日祝日の午後1時から午後8時までは、料金を400円上げて1200円に(ETC普通車)。それ以前の午前0時から午後1時までは800円に据え置き、午後8時から午前0時までは200円引き下げて600円にする。
アクアラインは、首都圏の日帰りレジャーの目的地として最適なため、毎週末午後、上り線が激しく渋滞する。時間帯としては、午後2時台から渋滞が始まり、午後5時前後にピークを迎え、午後8時を過ぎると収束するというパターンだ。
アクアラインの渋滞長は、最大で15km前後だが、通過に1時間40分かかることもあるほど流れが悪く、ドライバーの苦痛度は高い。しかし拡幅するとなると、海底トンネル+長大橋梁のため、費用は1兆円を超える。
渋滞の発生は休日(特に日曜日)に限られており、それも激しく渋滞するのは数時間だけなので、時間帯別の変動料金制を導入し、渋滞緩和を図るのが、理にかなっている。
時間帯別変動料金制は、個人的には20年以上前から提案していた。混雑する時間帯の料金を高くして、空いている時間帯を安くすれば、交通量は平準化され、渋滞が緩和される。拡幅工事等と違って、ほとんど費用をかけずに渋滞を緩和できるのだから、導入しない手はない。
20年前はまだETCの普及率が極めて低かったので、将来の可能性に過ぎなかったが、その後ETCは急速に普及し、7年前には利用率9割を超えていた。導入は遅すぎたくらいである。
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