小排気ターボHV全盛のなかで…NAエンジンはどうなる?
TEXT/国沢光宏
スカイライン、レクサスNXの2ℓ直4ターボがデビューし、小排気量ターボの時代が到来。
HVと合わせ活況を呈している。いっぽう、NA(自然吸気)エンジンはどうなのか?
現状と今後の展望を見ていこう。
HVの現状と今後どうなっていく?
今や登録車の半数以上がハイブリッド車という状況である。
1ℓ=100円の時代に12㎞/ℓのクルマに乗っていた人が、1ℓ=165円の今、20㎞/ℓ走ってくれるハイブリッド車へ乗り替えれば、ガソリン代はむしろ安くなってしまうのだった。車両価格が多少高くてもペイできてしまう。
ただハイブリッドならなんでもよいかとなれば「う~ん!」であります。最も効率のよいトヨタのハイブリッドですら、節約できるガソリン代ぶんではペイできないモデルが多数存在します。まずは現行のハイブリッドのシステムと今後の状況を分析してみたいと思う。
現在最も売れているハイブリッドシステムがトヨタのTHSⅡである。1・5ℓ、1・8ℓ、2・4ℓ、2・5ℓ、3・5ℓをラインアップしている。弱点は車重が増えるに従って効率悪くなっていくこと。現状だとクラウンやノア/ヴォクシー級で限界。
それより重くなると、優れたディーゼルエンジンに勝てなくなってくる。加えてホンダや三菱自動車が実用化している2モーター式ハイブリッドも強敵だ。今後エンジンと変速機構の間にクラッチを付けたり、電池をリチウムに変えるなど進化させていかないと厳しいだろう。
’15年にデビュー予定の次期プリウスにはTHSⅡに代わるTHSⅢを搭載する予定。メカニカルな面はもちろん、今年5月に発表された新しい半導体、SiCシリコンカーボネイト素子を使ったパワーコントロール内の電力エネルギー損出を低減する新技術も投入される。
これは現行プリウスに装着するだけでも5%の燃費向上、最適化することで10%燃費が向上するという。THSⅢは1・8ℓ+モーターには変わりはないが、軽量化技術やエンジン本体の改良、タイヤ面での進化を考慮すると40・0㎞/ℓ超えはほぼ確実。
ホンダのフリードやシャトルの簡易式ハイブリッドIMAの役割は終わった。燃費が伸び悩むだけでなく、電池の負担も大きいため、走行距離がかさむと交換しなければならないケースが出てきた。フィットやヴェゼルのツインクラッチハイブリッドは信頼性を確立しなければならない。
今後の熟成次第だし、ヴェゼルより大きいクルマだと効率落ちる。アコードが採用している2モーター式はコストさえ引き下げられればトヨタの次世代システムとも勝負できる。
日産はよい電池を持っているため有利な条件なのだけれど、いかんせん本気度合いを感じない。後輪駆動車用は4気筒エンジンと組み合わせないかぎり燃費でディーゼルに勝てず。
間もなくエクストレイルに採用される4気筒横置きFF用のハイブリッドに期待したいトコロながら、どうやら「ハイブリッドの市場は、期待できない日本市場しかない」と考えているらしく、大々的な展開はないかもしれません。最近の日産、日本専用車についちゃ逃げ腰です。
そのほかのメーカーだが、三菱自動車はホンダと同じ将来性のある2モーター式をアウトランダーPHEVに搭載している。ひと回りコンパクトなクルマを作ったらおもしろい。スバルはホンダIMAと同じ簡易式。
次の世代でどうなるか楽しみ。マツダについては自社開発せず。今後もトヨタからシステムごと購入することになります。スズキやダイハツの動きを見ると本格的なハイブリッドの開発を行っていない。
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