■緊急脱出ツール、レスキューマンIII
このような状況のなかで、最大限に威力を発揮するのが、クルマ用の緊急脱出専用ツールとして開発されたレスキューマンⅢだ。
これはサイドウインドウを叩き割るためのピンポイントハンマーと、シートベルトを切断できるカッターを1つにまとめたもので、クルマに常備していても安全で、しかもいざという時に使いやすく誰でも正しい使い方ができるという点が素晴らしい。
ナイフなどの刃物は、使い慣れた人でなければ、いざという時にとっさに安全に使いこなすことは難しい。さらに刃渡り6cm以上のナイフは正当な理由がなければ所持できないから、クルマに常備できる使いやすい道具とは言い難い。
■メーカーが純正オプションとして用意
このレスキューマン、改良を重ねて、現在のモノは3代目。ディーラーではクルマに標準装備としているところもある。フロアマットやサイドバイザーなどの付属品に含めているディーラーもある。
トヨタ、レクサス、日産、ホンダアクセス、マツダ、三菱、ダイハツなどに純正アクセサリーとして用意され、年間18万本販売されているそうだ(丸愛産業)。カー用品店やインターネットの通販サイトでも購入できる。価格は2484円(メーカーによっては価格変動あり)。
また警視庁をはじめ、大阪府県警本部、神奈川県警警察本部など全国の21の警察本部や日本道路公団、日本自動車連盟などがレスキューマンを装備しているという。
でも、いまだに認知度が十分ではない印象を受ける。もちろん大部分のユーザーがこうした緊急脱出用ツールを使う機会などないだろうし、ディーラーで販売していても説明を聞き流して、その役割を知らずに次のクルマに買い替えてしまうオーナーもいるだろう。
しかし、冒頭のように昨今は集中豪雨などで水害が起こることも珍しくなくなってきたのだ。万が一のために常備しておいて、使い方をマスターしておくべきだ。
タバコを吸う人が少なくなったのだから、サイドバイザーなどより有り難みのあるアクセサリーであり、すべての自動車ディーラーが付属品として、標準装備にするべきだ。
また、後席シートベルトの着用の義務化に伴い、首や腹部にベルトを巻き付け、外れなくなる事故が多発していることからも、前後席への装備が必要といえる。さらにミニバンなど多人数で乗車する場合は2列目、3列目にも装備したほうがいいだろう。
繰り返すが、今までは緊急脱出用ツールの必要性は高くなかったかもしれないが、自然災害が深刻化している現在は、スペアタイヤは積まなくなっても(オプション設定のクルマも増えた)緊急脱出用ツールは常備しておくべきだと断言しよう。
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