2023年の中古車相場は、ロシアへの中古車輸出の禁止などの理由から、落ち着いてきている。このような中で、もし話題のビッグモーターが保有する在庫車を放出した場合、中古車相場はどうなっていくのだろうか、考察していく。
文/高根英幸、写真/Adobe Stock、アイキャッチ画像/WATA3 – stock.adobe.com
■新車納期の短縮とロシアへの輸出ストップの影響で価格下がった?
2022年と比べて、中古車価格は大分落ち着いてきた。中古車オークション大手のUSSによれば、平均落札価格では2022年9月がピークで、それ以降は下落傾向にあるそうだ。
筆者はちょうど2023年、セカンドカーを購入しようと半年くらい中古車を探していたから、その頃と比べると現在(2023年9月)は明らかに中古車の価格が全体的に下がっているのは実感できる。
果たして今が中古車の買い時なのか、それともこれからもどんどん値下がりしていくのか。それは値下がりの要因1つ1つを理解すれば見えてくるだろう。
中古車値下がりの要因のまず一つは半導体不足、部品不足が解消傾向にあり、国内向けの生産が増やされた自動車メーカーによって、新車の納期が短縮されてきていることがある。
新車の納期が早まれば、中古車を買わずに新車を買うユーザーは増えるし、下取り車の入庫も早くなる。これによって中古車のタマ数は増加するので、需要がそのままでも価格を押し下げる方向へと働くのだ。
それだけでなく直近ではいくつかの要因が、中古車の価格を押し下げる方向に働いているのである。
それはロシアへの中古車の輸出規制が、より厳格化されたこと。これまでは車両価格が600万円以上の高級車が対象とされていたが、2023年8月からは1900cc以上のクルマは輸出禁止となった。
これはEUも同様の規制へと強化しているので、ロシア国内では中古車の需要が高まりそうだ。
そもそもロシア国内での新車の組み立て工場が相次いで撤退しており、新車が不足しているから中古車輸入が増加したのだから、新車市場がこれにより活況となることはないだろう。
ちなみにこの輸出規制はロシア国内で市民の経済的不満が高まって、ウクライナとの停戦を望む声を大きくするのが目的で、クルマ以外にも工業製品の多くが輸出規制の対象となっている。
もちろん日本から中古車を輸出しているのはロシア向けだけではないので、規制のない国や地域では価格低下を歓迎して輸入を増やすところもあるだろう。
そうは言っても、安くなったからと急激に輸入を増やすほど潤沢な経済力のある国は少ない(それなら新車を輸入するので)から、日本国内でしばらくは中古車が供給過剰となって値下げ圧力が働くはずだ。
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