スバルが捨てマツダが新規採用する6気筒エンジンはそんなにいいのか? 

■マツダが作り上げる2種類の直6の魅力とは?

 2017年の東京モーターショーで公開されたマツダVISION COUPE。 ロングノーズ、ショートデッキの美しいプロポーションを持つ
2017年の東京モーターショーで公開されたマツダVISION COUPE。 ロングノーズ、ショートデッキの美しいプロポーションを持つ

 さて、マツダの話に移ろう。すでに2017年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー、 VISION COUPE によって直列6気筒エンジンの開発構想があることは明らかになっていたが、いよいよそれが具現化する時期が近付いてきた。

 マツダが作り上げる直6は、かなりユニークで魅力的なモノとなることが予測できる。ちなみに来年で創業100周年を迎えるマツダであるが、直6エンジンを搭載する量産車を開発するのは、今回が初めてのことだ。

 現在、想定されている直6はディーゼルのSKYACTIV-Dと、世界初の圧縮点火を実現したガソリンエンジン、SKYACTIV-Xとされている。ディーゼルの直6と聞くと振動が多く、ガソリンの直6と比べるとエンジンフィールの滑らかさに欠けるのではないか、と思う読者諸兄もおられるのではないだろうか。

 しかし安心してほしい。SKYACTIV-Dは、ガソリンエンジンと同じ圧縮比を実現していることを思い出していただきたい。

 直6ディーゼル自体、ディーゼルとは思えないほどスムーズに回るエンジンが珍しくなかった(昔はその分、シリンダーブロックやクランクに強度を持たせ、重かった)。

 ガソリンの直6と遜色ないほどの滑らかな回転フィールと、ディーゼルならではの高トルク、省燃費を実現させてくるハズだ。

 そして、SKYACTIV-Xである。直列4気筒ですらまだ量産車に搭載されていない、革命的な燃焼方式のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用した直列6気筒はどんなフィールで回るのだろうか。

 試作段階の直列4気筒のSKYACTIV-X車に試乗したジャーナリストの一人でもある筆者としては、シームレスにストイキSI(理論空燃比の混合気をプラグ点火)からストイキSPCCI(混合気は濃いまま圧縮着火)、そしてスーパーリーンSPCCI(理論空燃比の1/3の薄い混合気を圧縮着火)を切り替えて、滑らかに回る直6エンジンがイメージできる。それはまさに画期的かつ魅力的なパワーユニットとなることだろう。

 48Vマイルドハイブリッドが組み合わされることが公表されているがBSG(ベルト駆動のスターター兼発電機)を組み合せるP0タイプは直列6気筒では効率が悪くなるから、エンジンと変速機の間にモーターを組み込むP2タイプか、変速機の後のP3タイプのハイブリッドになるだろう。

 マツダは2019年5月9日、2025年3月期(2024年度)を最終年度とする6カ年の中期経営方針が発表されたが、そのなかにはっきりと2種類の直6エンジンの計画が載っていた<br>
マツダは2019年5月9日、2025年3月期(2024年度)を最終年度とする6カ年の中期経営方針が発表されたが、そのなかにはっきりと2種類の直6エンジンの計画が載っていた
 ベストカー本誌が製作した次期アテンザの予想CG。 2020年に直6ディーゼルのFRのプレミアムモデルに生まれ変わることが期待される
ベストカー本誌が製作した次期アテンザの予想CG。 2020年に直6ディーゼルのFRのプレミアムモデルに生まれ変わることが期待される

■直6が復権してきたのはエンジン本来の魅力を追求するようになってきたから

 EVの急追によってハイブリッド化が必須となってくる今後、エンジンは発電に徹するのか、エンジンを走行用に使うのか、二極化していく。

 エンジンで走行するクルマは、燃費だけでなくエンジン本来の魅力を訴求しなければ、成功することは難しい。

 滑らかに回りながら、エンジンならではの鼓動と、トルクの盛り上がりを感じさせる「シルキーシックス」。そんなエンジンが、クルマを運転することを楽しむユーザーに選ばれるに違いないのだ。直6こそが、プレミアムエンジンとして、淘汰されずに生き残っていくのではないだろうか。

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