まるで研究設備!?千葉にそびえるらせんパーキング

まるで研究設備!?千葉にそびえるらせんパーキング

 まるでニュートリノ検出装置「スーパーカミオカンデ」のなかにでも迷い込んでしまったかのようなワンショット……。なのだが、実はここ、JR総武線千葉駅に隣接して建つ「そごう千葉店」(平成4年竣工)のオーロラシティパーキング(旧コリドーパーキング)という駐車場の内部なのだ!

 有名な建築家が設計した建物ではないそうだが、以前は「回廊」を意味するコリドーという名を冠していたのが納得できる、マニアがたまらなく萌える建物といっていい。

 というわけで、今回はそごう千葉店の伊藤宏記さんと向井裕二さんにご協力いただき、取材することができた。

千葉中央駅側から見た外観。外を巻くらせん状のスロープが非常に美しく、すばらしいランドマークとなっている
千葉中央駅側から見た外観。外を巻くらせん状のスロープが非常に美しく、すばらしいランドマークとなっている  

 この駐車場は5〜10階までが低層階、11〜屋上階までが高層階(地上〜屋上までの高さ約60m。現在屋上駐車は閉鎖中)として2つのエリアに分かれていて全1680台のキャパがある。4階までは店舗が入るフロアになっているので、取材の前に建物内を見てまわったが、そこで気付いたのは、ここのエスカレーターホール(HALL)は、実は〝HOLE=穴〟に造られていたのだ。

 らせん形状のスロープを造るための縦穴を、店舗が入るフロア手前で止めずに、建物の天井から地下までズドンと通して、その途中にフタをしてエスカレーターホールを造っているという構造だ。

 伊藤さんの話によると、複雑な2重らせんは小さいピースで搬入されたパーツを組み合わせて、構築したようだ。スロープの材質が鉄筋モルタル製のため、海が近い環境では塩害により建物寿命が短くなるのが心配とも語った(ここ千葉店と東京湾は1・3㎞しか離れていない)。

 そんな個性的な駐車場だが、実際に利用しているお客さんからはどのような反応が返っているのか聞いてみた。

 「実際、ぐるぐる回ることへの不満を口にするお客様が多いです。あとは、低層階が空いているのが見えているのに、高層階に誘導されたというお怒りを受けたこともあります」(笑)

 もっと肯定的な感想が出るかと思いきや、すべて否定的なものというのには驚いた。しかし否定的な意見が多い理由を聞くと、このパーキングの特徴的な構造ゆえに出ているそうだ。

 「このパーキングは一度入ると、出口階につながるスロープのある11階までは、上ることしかできないのです。ひとつ下が空いていたと思っても戻れませんし、一度下りてスロープに入ると途中階に抜けることもできません。また5階に駐車して出庫する時も、一度11階まで上らないと出口へは向かえない構造になっているのです」

 凝ったデザインゆえの難点ということだろうが、もう少し利便性を考えてもよかったのでは? という気もする。ところで、そんなにぐるぐる回っていると運転する人の感覚はおかしくならないのか?

 「確かに感覚がおかしくなって、クルマを壁にこすったりする人が多いです。それを理由に、女性のお客様の中には低層階を指定する方もいます」

 しかし、これほどまでに複雑だと出るまでに渋滞などは起きないのだろうか?

 「平日はそうでもありませんが、休日ともなると2時間かかっても駐車場から出られないとお客様から怒られたこともあります。それでも、周辺道路への出しかたを工夫するなどして、かなり改善はされました」

 この記事を読まれて、この駐車場を体験したい方はぜひ平日に行ってほしい。休日にはかなり待つ覚悟がある人か、忍耐強い人が向いているかもしれないので……。

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