フルオープン復活も再消滅! フェアレディZの平成オープン史
この困難な課題に挑んだのが、ピュアスポーツのフェアレディZだ。年号が平成に変わった1989年の夏、4代目フェアレディZ(Z32型)が登場。
待望のフルオープンカーが加わるのは1992年夏だ。フェアレディ2000以来、絶えていたフルオープンモデルを復活させている。
コンバーチブルに搭載されているのは、3LのV型6気筒DOHCエンジンの自然吸気のほうだ。パワフルなターボ仕様は用意されなかった。爽快な走りを楽しむ、という考え方はマツダのロードスターと共通するところである。
フェアレディZは2年間の空白の後、2002年7月に5代目のZ33型が登場。この5代目Zも、2003年10月にソフトトップを備えたロードスターを設定している。
そして、フェアレディZは2008年12月に第6世代へと移行。このZ34型にロードスターを投入するのは2009年10月だ。
待望の電動トップが採用され、脱着からロックまでスイッチ操作によって開閉と収納が可能になった。また、インテリジェントキーによって外からでもオープンにすることができる。
さらにエアコンディショニングシートも採用したから、冬場だけでなく夏場でも快適なオープンエア・モータリングを楽しむことができるようになった。
だが、2014年にロードスターは日本での販売を終えている。海外では引き続き販売されていたが、これも終了すると発表された。伝統のオープンモデルが消滅するのは、とても残念だ。
マーチやレクサスISのオープンモデルも消滅
オープンカーの爽快感を重視するラグジュアリーカーや2ボックスは、バリエーションのひとつとして21世紀になってもオープンモデルを設定した。
その筆頭がマイクラC+Cだ。マイクラは英国日産が生産するマーチの海外仕様である。マーチは2代目の後半の1997年夏にルーフを取り去ったカブリオレを加えた。
マイクラC+CはK12系マイクラのルーフをガラストップとし、電動ハードトップを採用したクーペカブリオレで、日産ではクーペコンバーチブルと呼んでいる。
日本でお披露目されたのは、2007年1月の東京オートサロンだ。そして7月に1500台限定の形で発売され、3年後の2010年夏、予定台数に達したので販売を打ち切った。2代オープンを続けたが、現行モデルにC+Cの設定はない。
もう1台、話題をまいたのが2005年に日本で立ち上げたレクサスのスポーツセダン、ISに設定された電動開閉式メタルトップのIS Cだ。
こちらも4人乗りのクーペカブリオレで、快適性も高かった。が、1代限りで生産を終え、現行モデルにクーペカブリオレはない。
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オープンカーが生産中止に追い込まれているのは、販売が伸び悩んでいるからだ。最大のマーケットであるアメリカでも人気がなくなってしまった。
安全性やセキュリティに不安があることが販売不振の理由のひとつだが、ユーザーの好みが変化したことも一因にあげられる。
また、高性能車が増え、剛性や安心感を重視する人が増えてきた。今は地球にやさしいクルマが求められているから電動化は必至だ。メカニズムが複雑になり、クルマも肥大化しているから、重量のかさむオープンカーは開発しづらい時勢なのである。
快適性を第一に考える人が増えたからオープンカーの未来は明るいとは言えないだろう。だが、ぜひとも技術革新によって爽快なオープンカーを残してほしいものである。
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