中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]

■新たな渋滞対策案に効果は見られるのか?

 休日の中央道上り線は、小仏トンネル付近を先頭に大渋滞が発生する。その対策として、小仏トンネルの増設(1車線増)に合わせ、トンネル前後に合計5km付加車線を設置する工事が進んでいる。

 これが完成すると、小仏トンネル付近を先頭にした渋滞は解消されるだろう。代わりに渋滞の先頭は上野原IC付近の車線減ポイント(3車線→2車線)に集約されるが、現状よりは所要時間の短縮が見込める。

中央自動車道上り線、小仏トンネル付近のピンポイント渋滞対策 出典/NEXCO中日本
中央自動車道上り線、小仏トンネル付近のピンポイント渋滞対策 出典/NEXCO中日本

 現場は強烈な傾斜地で、トンネル掘削を始め難工事の連続。完成時期の目標すら発表されていないが、おそらく2030年前後になるのではないだろうか。

 今年3月に開催されたワーキンググループでは、新たな渋滞対策案も提示された。

 そのひとつは、下り線のピンポイント渋滞対策で、現在サグとなっている日野バス停付近の前後7kmに付加車線を設置するというものだ。手法としては、本線の拡幅は行わず、路肩や各車線の幅を狭くして1車線分ひねり出す。工期も工費も節減できる最も手軽な方法だ。

中央自動車道下り線、日野バス停付近のピンポイント渋滞対策案 出典/NEXCO中日本
中央自動車道下り線、日野バス停付近のピンポイント渋滞対策案 出典/NEXCO中日本

 それ自体は大変いいのだが、この区間の渋滞が緩和されても、休日の下り線は、相模湖IC付近や小仏トンネル付近を先頭に大渋滞が発生する。下流側を多少いじったところで、渋滞が上流側に集約されるだけで、トータルの渋滞量は変わらない。それは、東名の大和トンネル付近の渋滞対策が空振り三振状態にあることで証明されている。

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