異例の注文!? レクサスRX日本発売もハリアー廃止に「待った」
2005年にはレクサスが日本国内でも開業して、ソアラの最終型はマイナーチェンジでレクサス SCになった。
アリストはレクサス GS、アルテッツァはレクサス IS、セルシオはレクサス LSという具合に、順次トヨタブランドからレクサスに変更されていった。
この流れに沿うなら、ハリアーもレクサス RXの国内発売と併せて、2009年に終了するはずであった。
ところがトヨペット店は、ハリアーの廃止に反対した。
発売から約5年を経過した2008年頃でも、ハリアーは月に2000~3000台を安定して登録し、SUVの販売1位をエクストレイルと争っていたからだ。
この頃になると、トヨタの売れ筋はカローラ、ヴィッツ、パッソといったコンパクトな車種になっていたから、高価格で堅調に売れるハリアーは大切な存在だった。
しかもトヨペット店は全国に約1000店舗だが、レクサスは170店舗足らず。トヨペット店もレクサスの出店母体になっていたが、RXは販売ネットワークが大幅に限られてしまう。
そこで2代目ハリアーを存続させながら、レクサスでは新型RXを扱うという、車名の異なる新旧併売を実施することになった。
2009年発売のレクサス RXは大柄で、価格も高まった。レクサス RXはV6・3.5Lエンジンを搭載して、装備も充実。価格は最も安いグレードでも460万円だ。
ハリアーは直列4気筒2.4Lエンジンだが、前輪駆動の最上級グレードが約300万円に収まる。
実質的に旧型となるハリアーが明らかに割安だ。店舗数の違いもあり、売れ行きは新型のレクサス RXよりも旧型のハリアーが圧倒的に勝る皮肉な結果になった。
両車の登録台数は、2010年の時点でレクサス RXが1か月平均で500~600台、対するハリアーは1000~1100台に達する。
レクサス RXが前年発売の“新型”、ハリアーは発売から7年を経た“旧型”という違いも踏まえると、人気と売れ行きはハリアーの圧勝だった。
国内専売車誕生! レクサスRXとハリアーは「別の車」に
こうなるとハリアーは廃止できない。2013年にはレクサス RXとは異なる国内専売の現行ハリアーを発売した。
開発者は「左ハンドル仕様のないSUVを手掛けたのは、これが初めてです」とコメントした。この後ハリアーは右ハンドルの一部地域に輸出されるが、販売台数を見ると国内中心だ。
現行ハリアーは、従来路線を踏襲しながら質感をさらに高めた。日本のユーザーがイメージする高級感で仕上げられ、インパネの見栄えは、合成皮革とは思えない。イミテーションでも、ここまで上質に造り込めば立派だ。
売れ行きも好調で、発売から6年近く経過した今でも、月に3400台前後を登録。レクサスRXは2015年にフルモデルチェンジを受け、登録台数は500台前後だ。
この売れ行きの違いは、トヨペット店を含めたトヨタブランドと、レクサスブランドの実力を象徴している。
日本のどこでも公平に購入できるのがトヨタの魅力で、トヨペット店は全国の各地域において、1000店舗が入念なサービスを実施する。
一方、レクサスは今でも170店舗程度に限られ、出店は東京都など都市部が中心。未だに1県に1店舗の地域が残る。レクサスはトヨタの上級ブランドなのに、どこでも公平に、という顧客に向けた優しさが乏しい。
しかも一般の中古車店でレクサス車を購入したユーザーが、車検でレクサスの店舗に訪れた時は、レクサスオーナーズラウンジを使わせない差別待遇も行っている。
本性はこういった些細な事柄に露呈するもので、トヨタらしいハリアーが好調に売れるのは当然だ。
改めて思い返せば、レクサス LSはセルシオ、GSはアリストとして売られていた時代の方が、ユーザーも販売会社も幸せだった。
今でもハリアーと同様、日本のユーザーに寄り沿うセルシオやアリストを復活させたら、共感を呼んで好調に売れると思う。
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