高速道路空白地帯を往くVOL.1「練馬区には首都高がないんです!」【清水草一の道路ニュース】

■60年越しに叶った環八全線開通

 しかし、練馬区在住のS氏は反論する。

 「練馬区の道路事情はずいぶん良くなりましたよ。まず環八(環状八号線)井荻トンネルの開通があったでしょ。その後環八が全線開通して、状況はぜんぜん変りました」

 かつて環八は、井荻駅前(杉並区)に西武新宿線の踏切があり、地獄の渋滞ポイントとなっていた。私の実家はそのすぐ近所だったが、環八井荻踏切を渡ったことはほとんどない。地元のドライバーにとっては、通ろうとしてはならない場所だったのである。

 ところがディープ練馬のドライバーは、そこを通過しないと南下できなかった。練馬区は、井荻踏切という関所で閉じられた閉鎖空間だったと言ってもいい。

 その井荻踏切をアンダーパスする井荻トンネルが開通したのは、1997年のこと。これによって渋滞は大幅に緩和された。その経済効果は年間200億円と推測されている(東京都調べ)。ひとつの踏切としては想像を絶する規模だ。

 2006年には、前述の環八全線開通が達成された。1946年に都市計画決定されてから60年もかかったが、練馬区の南北方向の移動は劇的に改善され、現在に至っている。

練馬区民の生活を一変させた井荻トンネル。1km以上の長いトンネルで、交通量の多い複数の一般道との交差部を地下化している
練馬区民の生活を一変させた井荻トンネル。1km以上の長いトンネルで、交通量の多い複数の一般道との交差部を地下化している

 しかし、まだ不満はくすぶっている。

 練馬区のドライバーは、「なぜ関越道は首都高とつながっていないのか」ということに、大いに不満を持っている。首都高の基本構想には目白通りに沿った「練馬線」という計画があるが、凍結されたままだ。

 首都高練馬線は、関越道からC2(中央環状新宿線)に接続する計画だったが、C2の建設時、練馬線とのジャンクション予定地付近の住民が換気塔の設置に激しく反対した経緯があり、結局ジャンクションの接続を前提としないトンネル設計になった。その時点で、練馬線の計画は消滅したと言ってもいい。

次ページは : ■かすりもしていない首都高と工事が停止した外環道

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