新型ジュークの代わりに別のSUVが日本導入へ!
2019年9月4日、日産はコンパクトSUV、ジュークの新型モデルを欧州で発表。現行型のジュークは2010年発売と、すでに登場から9年が経過していることもあり、日本市場にも追ってこの新型が投入されるとみられていた。
しかし、日産関係者への取材により、現時点で新型ジュークを日本導入する計画はなく、替わりに同じく日産のコンパクトSUVとして北米などで販売中の「キックス」を投入する見込みであることがわかった。
なぜ、今も日本で売っているジュークではなく、キックスを日本に投入するのか。その理由とは?
文:渡辺陽一郎
写真:NISSAN
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新型ジューク日本導入の予定は「なし」
2019年9月に、欧州で新型ジュークが発表された。コンパクトサイズのSUVは、日本でも人気のカテゴリーだから、当然に国内仕様もフルモデルチェンジすると考える。
ところが日産の関係者に尋ねると「今のところ日本仕様のジュークをフルモデルチェンジする予定はない。現行型を継続して売り続ける」という。
日本で販売するジュークをフルモデルチェンジしない理由を尋ねると、
「グローバルな市場戦略に基づく。海外で売られている車でも、日本で発売するにはさまざまな手間と時間を要する」
「コストを費やして新型ジュークを発売した場合、どの程度のメリットを得られるのか、そこを従来型の継続販売と比較して判断する」
と説明された。
その一方で、ジュークと同様のコンパクトSUVとなるキックスを導入する噂も聞かれる。
日本では馴染みが薄いキックスはジュークとどう違う?
キックスは、ブラジルやメキシコで生産される海外向けのコンパクトSUVで、北米や中国でも売られている。ボディサイズは全長が4295mm、全幅は1760mm、全高は1590mmで、ホイールベースは2610mmだ。
欧州で発表された新型ジュークは、全長4210×全幅1800×全高1595mmでホイールベース2636mmとされるから、両車のサイズはほぼ同じと考えて良い。
内外装のデザインは、ジュークは従来型の路線を踏襲しながら、個性をさらに強める。塊感の伴う独特のボディスタイルだ。インパネなどの内装にも、立体感を持たせている。
これに比べるとキックスは、フロントマスクなどをジュークに比べてオーソドックスに仕上げた。遊び感覚はあまり強くない。
それでも内装は上質に作り込まれ、キックスとジュークに明確な上下関係はないと思われる。車両の性格に応じて作り分けるようだ。
エンジンは、欧州仕様のジュークは直列3気筒1Lターボを搭載して、最高出力は117馬力を発生する。
対する北米仕様のキックスは、直列4気筒1.6LのNAエンジンを搭載して、最高出力は122馬力だ。このあたりの性能も同等になる。
ジュークではなくキックスを日本導入する理由は?
国内でジュークではなくキックスを発売するとすれば、このエンジンの設定も関係しているだろう。ジュークは1Lターボで、トランスミッションは、6速MTと2組のクラッチを使う有段式の7速ATだ。
キックスは1.6L(1.5Lもある)とCVT(無段変速機)だから、後者は日本車に多く使われる機能で運転感覚も馴染みやすい。
また、これから日本で売るなら、ハイブリッドシステムのe-POWERと、運転支援機能のプロパイロットは必須条件だ。こういったメカニズムとの組み合わせや相性が影響している可能性も高い。
それでも日本のユーザーにとって、導入すると喜ばれるのは新型ジュークになる。コンパクトSUVの定番車種であると同時に、個性的な外観と運転感覚が、カテゴリーの垣根を超えて高い支持を受けているからだ。
ちなみに国内で人気の高かった時代の日産は、S13型シルビア、R32型スカイライン、P10型プリメーラなど、クルマ好きのユーザーに受ける適度なサイズの商品を提供してきた。クーペやセダンが飽きられ始めた2000年代中盤以降は、ジュークがシルビアやプリメーラのイメージを受け継ぐ車種になっている。
そのために日産は、ジュークの発売時点では20~30代の比較的若い年齢層をターゲットにしていたが、実際に売り始めると購買層の40%が50歳以上で占められた。
2010年の時点で若年層は新車を購入しにくくなっていたが、それでも50歳以上が40%を占めるのは、個性的なジュークにとって購買年齢が高いと感じたものだ。
要は昔ながらの日産ファンから共感を得て、50歳以上のユーザー(今では60歳以上の世代)を引き付けた。
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