どこで生産するのか?
現行型マイクラは、ルノーのフランス・パリ近郊のフラン工場にて生産されている。イギリス向けの車両もあるため、右ハンドルのマイクラも製造されている。
ということは、前述の設計変更もかっ飛ばして、日本にそのまま輸入して良いように思えるだろうが、そうはいかない。
日本とフランスの距離は約10000km≒地球4分の1周分だ。この距離を船便で輸送するとなると、とんでもない輸送運賃がかかり、加えて関税も掛かる。
それを車両販売価格に反映させると、欧州価格12万ユーロ≒141万円(※1ユーロ=117.90円で算出)のマイクラが、おそらく200万円近くにもなってしまうだろう。
販売価格を上げるわけにはいかないとなると、生産工場は日本、もしくは日本に近いアジア圏にする必要がある。
現時点、日本国内だと、小型車を製造している追浜工場が該当する。キューブやマーチが製造される混流ラインであり、マイクラが加わっても、製造に順応するのはそれほど難しいことではないだろう。
それよりも、車両製造ラインに要する金型などの莫大な設備投資が必要となることが課題である。
また、部品供給してもらう業者が存在しないと車両は完成しない。マイクラのようなコンパクトカーは、台数が売れないと利益が出せない。
そのため、メーカーは部品単価を下げようと、業者と調整をするのだが、部品単価を下げる交渉の中で、最もキーとなるのがクルマをどこで生産するのかという点だ。
そもそも業者の工場が日産の生産工場の近く、もしくは日本国内に存在しないと、部品を組立工場へ搬入するコストが発生する。
それにより、クルマのコストが上がってしまう。日産の都合だけでは、マイクラを廉価に国内市場へ提供できないのだ。
いよいよ販売へ向けた準備が始まる
車両の生産ラインが確立し、パーツの供給も整い、試作車両も出来上がれば、次に行うのは、国土交通省の型式認証を通過する儀式だ。
自動車の型式認証制度とは、自動車メーカーが新型の自動車の生産、または販売を行う場合に、あらかじめ国土交通大臣に申請または届出を行い、保安基準への適合性等について審査を受ける制度のことである。
本来は、一台ずつ国土交通省で行うべき新車検査を一台の試験車の審査結果が合格ならば、あとは自動車メーカーの製造ラインへ検査を委託するというルールである。
検査項目については、基準適合性審査として、ブレーキ試験、排出ガス試験、灯火器試験、そして品質管理(均一性)審査などがある。
型式認証を無事に通過すれば、いよいよ日本向けマイクラデビューに向けた最終準備がスタートする。
広報用CMの製作やカタログの作成、一大プロモーションを行ったり、有名ジャーナリストに乗ってもらい評価をいただいたり、販売キャンペーンを用意したりと、販売会社を巻き込んで着々と仕上げをする。
そして、ようやくデビューとなるのだ。
まとめ
日本メーカーによる海外仕様のクルマは、そのコンセプトが日本に合わないと判断され、国内導入とならないケースがほとんどであろう。やはり所変われば品変わるなのである。
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