9月27日、任期満了に伴う自民党総裁選が行われ、1回目の投票ではどの候補者も過半数を得られず、高市早苗氏と石破茂氏の決選投票の末、石破茂氏が自民党新総裁となった。自民党総裁になるということは事実上の新首相となる。ここでは、自動車業界、交通行政に絞って、「石破新首相に望むこと」を自動車評論家・国沢光宏氏が寄稿した。
文:国沢光宏/写真:産経新聞社(石破茂氏)、ベストカーWeb編集部、Adobe Stock
■決戦投票の結果、石破茂氏が自民党新総裁に選出
第1回目の投票では高市早苗氏が181票、石破茂氏が154票、小泉進次郎氏が136票とどの候補も過半数が得られなかったため、高市氏と石破氏による決戦投票となり、石破茂氏215票、高市早苗氏194票と21票差で石破氏が高市氏を破り、第28代総裁に選出された。石破氏は10月1日召集予定の臨時国会で首相に指名される予定だ。
我が国で始めとなる女性首相誕生かと思われたら、決選投票で国会議員票がどっと石破さんに流れ地滑り的な勝利になった。高市さんの発言、少しばかり過激な主張が目立ち、それをよしとしない流れになったんだと思う。
石破さんの面白さは今までの自民党総裁と違い、利権のニオイという点で限りなく薄いことにある。というか、よくぞ自民党がこの人を選んだものだと驚く。
【画像ギャラリー】惜しくも決選投票で敗れた高市早苗氏が乗っていたA70スープラ(レストア前)の写真をチェック!(5枚)画像ギャラリー■石破さんが新首相になって自動車業界はどう変わる?
果たして自動車業界はどうなるか? 説明するまでもなく自動車業界を見ると利権との距離を置いてきた。というか利権構造がないいため、国から叩かれてきたと言い換えてもよい。
現在進行形で自動車業界が政治に訴えているのは、高過ぎる自動車諸税の負担減のみ。石油関連政策も今までの首相は利権ど真ん中か「お好きにどうぞ」という姿勢。石破さんなら今よりひどくならないと思う。
好例がガソリン補助金。ガソリン価格は本来なら原油相場と為替レートで決まるハズ。直近の原油相場下落や円高を受け、すでにウクライナ侵攻前より安くなっていないとおかしい。
しかし、補助金を使っているのにウクライナ侵攻前より高いのだった。税金を使う補助金、どこに行ってるのか? 今までの首相は追求する気持ち全くなし。石破さんに期待したい。
続いて海外との関係だけれど、親米という流れは変わらない。加えて歴代首相と違い、防衛大臣を経験しているため安定感ある。適当な距離をキープしながら上手に付き合うだろう。
次期アメリカ大統領になりそうなハリスさんは環境問題を支持すると予想される。日本も同じ路線を選択するに違いない。電動化戦略に関して言えば現状維持。粛々と計画を進めればいいと思う。
個人的にはエネルギー政策に期待している。東日本大震災の時に福島第一から出た放射線物質がアメリカにも影響を与えたのを受け、日本に対する「原子力を推進しろ」という動きがなくなった。
国内の利権だけで動いている状態といってよい。石破さんの「原発ゼロへ最大限の努力」への抵抗力は強くないため、2050年に向けた現実的なエネルギー戦略を打ち出して欲しいと思う。
対中国どうか? 「尖閣は次の世代に解決をゆだねる」という約束を破り、当時の首相だった野田さんが突如日本の占有権を主張した。中国からすればケンカ売られたのと同じ。
以後、海上保安庁の仕事量&予算は拡大する一方。完全なるムダ使いです。この「トゲ」を抜けば中国との関係も良くなる。高市さんが首相になったらカンペキに冷戦となったろう。隣国とは上手に付き合いたいもの。
中国の自動車メーカーから見ると「現状維持」になる。閉め出されることなく、かといって優遇されることもなかった。淡々と冷静かつ国際慣習によってビジネスをするような流れになるだろう。
中国車に限らず自動車関係は国が口出しすべきじゃないと思う。安全だけしっかり担保し、ユーザーに判断を任せたらいい。今の中国車の実力だと日本での成功は難しい?
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