世界のトヨタを支える思想に、トヨタ生産方式がある。無駄の徹底的な排除と、作り方の合理性を追い求めた結果生み出された生産方式だ。モノづくりの現場では、かなり昔からお手本とされているトヨタ生産方式。これは、事務や営業活動を捗らせるのにも使える方法ということを知っているだろうか。
文・佐々木 亘/写真・トヨタ
【画像ギャラリー】名車誕生の瞬間を大公開!! 世界に誇る「センチュリー」ができる工程をギャラリーでチェック(3枚)画像ギャラリー■3Mを無くし5Sを徹底する
トヨタ生産方式を遂行する上で、3Mを意識することはとても重要だ。
3Mとは、ムダ・ムラ・ムリのこと。「3ム」と呼んだり、それぞれの2文字目を並べて「ダラリ」などと言ったりもする。これらは、ムダ・ムリ・ムラの順番で強く意識し、ムダから排除していき改善するのだ。これにより、生産性や効率は、飛躍的に向上する。
問題の3Mは製造業の現場だけで起きるものではない。事務や営業など、様々な仕事があるが、その多くの基本となるのがデスクワークであり、ここは3Mの温床とも言える。すると、仕事は停滞してしまう。
3Mを解消するために必要となるのが、トヨタの片付け文化の一丁目一番地である「5S」だ。5Sは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のこと。これらができていないと、書類がすぐに出てこない、紛失するといった時間やコストのムダが発生してしまう。
5Sを徹底して行い、3Mを無くしていく。これがどこのオフィスでもできる、トヨタ流の効率化なのだ。
【画像ギャラリー】名車誕生の瞬間を大公開!! 世界に誇る「センチュリー」ができる工程をギャラリーでチェック(3枚)画像ギャラリー■キレイかどうかが仕事の良し悪しを決める
トヨタのメーカー研修に行くと、5Sの徹底ぶりがよくわかる。製造現場はもちろんだが、デスクワークの仕事場も、驚くほどに綺麗なのだ。5Sが機能し、効率的に仕事をしているという証だろう。
これは自動車ディーラーに話を置き換えても同じだった。
クルマがよく売れて、お客さんとの関係も良好な営業マンの机は、決まってキレイだ。ほとんどノートパソコンと電話だけが机の上に置いてあるという状況に近い。こういう営業マンは、忙しそうに仕事をしないのも特徴の一つだろう。
対して、成績が上がらず、トラブルメーカー。それでいて毎日忙しそうに働く営業マンの机の上は、総じてモノが溢れている。書類は山積み、机のマットにはよくわからない挟みモノが多く、ノートパソコンは付箋だらけだ。こうなるとスペースや時間のムダが生じ、間違えが増え自身の動線も長くなる。
まずは身の回りをきちんと片づけることが大切だ。片付けは雑用でも最後にやることでもない。片付けこそが仕事だと、筆者は教わった。
【画像ギャラリー】名車誕生の瞬間を大公開!! 世界に誇る「センチュリー」ができる工程をギャラリーでチェック(3枚)画像ギャラリー■5Sを正しく理解しあなたも明日からデキる人へ
トヨタには何事も5Sから始めるという考え方がある。5Sを正しく理解することが、仕事の第一歩だ。
まず「整理」だが、これは要るものと要らないものを分けて、要らないと判定したものは「捨てる」ことが大切なポイント。これで、モノを圧倒的に減らしていく。そして「整頓」、必要なものを必要な時に必要な分だけ取り出せる環境を作らなければならない。
整理・整頓ができたかどうかのチェックは、「書類10秒取り出し」で確認しよう。トヨタでは、書類や必要な道具が、必要とされたときに10秒で取り出せるというのが暗黙のルールだ。例えば「〇〇様の注文書」と言われたときに、10秒で出てこなければNGということ。ここまで徹底して、整理・整頓を行う必要があるのだ。
さらに、清掃(きれいに掃除する・汚れないようにする)、清潔(整理・整頓・清掃した状態を維持する)も重要だ。一日の終わりには、デスクの上をスッキリと片づけて、キレイない状態で翌日の朝を迎えるのも、仕事を捗らせる手法の一つになる。
また、こうした5Sをしっかりとルール化し、各人がルールを守る環境づくりの「しつけ」ができれば終了だ。
たったこれだけと思うかもしれないが、やってみると意外と難しい。徹底した5Sで、3Mが排除できれば、あなたの仕事も明日から捗る。トヨタの考え方は、全ての仕事場で活用できるものなのだ。
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