クルマ選びに常識は禁物だ。似合わないとか、ムリと思っている限り新しい発見には到底出会えない!
選・文:西川 淳
BestCar PLUS 2016年5月18日号
クルマで人生を変えるのは実は難しいことじゃない
人は何かに満足してしまうことで、限界を作ってしまう。世の中にはそれを超えた存在がまだまだたくさんあるというのに。
もちろん、経済的、社会的、嗜好的な境界線は人それぞれにあって、たとえば免許取り立てのフツウの学生に、「ラ フェラーリに乗ってみろ、人生変わるから」とは口が避けても言えない。
けれども、実際に乗ってみれば、自分のなかで何かしらの化学変化が起こり、モノや景色を見る目も変わって、ちっぽけな自分というよりも、小さく安住する自分に気づく。
気づいたときがスタートポイントなわけだから、気づかなければ一生そのまま。死ぬときになって後悔しても、時すでに遅しだ。
というわけで、人生を変えるクルマ選びというのは、実はそう大層なことではなく、せめて還暦まではチャンスとタイミングを生かしてありとあらゆるクルマに乗っておけ、ということでしかない。
選り好みをせず、決して色眼鏡をかけず、物怖じすることなく、好奇心を張り巡らせる。その姿勢を取れたというだけで、人生はきっと変わっていくことだろう。
ボクの場合、それは20代最後の年に、ありとあらゆる手を尽くして手に入れたフェラーリBBだった。大それたクルマを買ってしまったという“身の程知らず”さを、後悔したこともあった。
けれどもBBを買ったことで、スーパーカーライターへの道も開けたのだ。四六時中、手に入れることだけを考えていたあの時間があったからこそ、今でもスーパーカーを一途に愛する気持ちを、持ち続けていられるのだと思っている。
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