乗って実感した、相反する要素を両立するAMGの二面性
WEBベストカーが今回借りたのはS63 カブリオレ。ベースグレードであるS550 カブリオレの2145万円に対してS63 コンバーチブルは約600万円も高い2755万円。
その600万円の差はAMGのクラフトマンが手組みしたエンジン、専用エアロパーツなどになる。差額とはいえ軽くクラウンが買える値段だ。そこまでしてAMGに乗る意味があるのだろうか?
乗ってみてまず感じられるのは圧倒的な加速性能。高速道路の料金所から軽いアクセルワークで”グォォォォ”という感じで加速していく。法定速度まではあっという間だ。
特筆したいのがAMGモデル特有の”ドロドロ”とした排気音。とても心地よく、不思議ともっと聞きたくなる。
しかし高速走行中にあえてシフトダウンをしてみると、後方から”バリバリバリ”といかにも排圧が高そうな排気音がする。回転数にもよるがこれは「ちょいワル」で済むレベルではない。
AMGエンジンの大パワーはギクシャクせず2220kgのズッシリとした車体を、オーナーにストレスを感じさせず加速させる。100km/h巡航時のエンジン回転数は1500rpm。
静粛性でいえばN700系「のぞみ」より静かだ。揺れも少なく快適そのものだがひとたびシフトダウンをすれば、あの”怪”音がまた聞こえてくる。この二面性はパドルシフト、そして右足のアクセルだけでコントロールできる。
ノーマルグレードより動力性能がよく、サウンドやデザインにも魅力があり、それでいて快適性は標準車同等、もしくはそれ以上。
「ジューシーな唐揚げなのに絶対太らない」くらい無理のあるリクエストだが、それをキチンと実現しているのがAMGだと思う。
アクセルを踏み込めばその加速は並大抵のスポーツカー以上だ。しかしルーフを閉じてジャズでも流せば本流のSクラスセダンと変わらない静粛性と快適性を両立する。
左手のパドルシフトでシフトダウンしてアクセルを踏み込まない限り、だが。
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