ベンツS63コンバーチブルで感じるAMGの二面性とは!?

 2017年は”AMG”が50周年を迎える。AMGはメルセデスのスポーツグレードの名前でお馴染みだが、意外にも長い歴史があるのだ。

 今回はWEBベストカーがAMGモデルに実際に試乗し、AMGの真価と向き合った。AMGの歴史とその価値観、このページさえ見ればそのアウトラインが見えるはず。

 文:WEBベストカー編集部/写真:Mercedes、WEBベストカー編集部


AMGの二面性は創業時からの伝統だった!?

 ”AMG”は今年50周年を迎えるメルセデス社内のチューニング部門だ。そんな”メルセデス AMG”だがかつてはメルセデスとは異なる独立した会社だった。

 社名の由来は人名と地名のコンビネーションの頭文字だ。創業者のAufrecht(アウフレフト)とMelcher(メルヒャー)、そして二人の生まれ故郷のGroßaspach(グローザスパッハ)の頭文字から取られている。

 AMGはレースエンジン開発からその歴史をスタートさせ、1971年のスパ・フランコルシャンの24時間耐久でクラス優勝を飾ったことで世界の表舞台に立つ。

 そのマシンが下の画像の300 SEL  6.8 AMGだ。スポーツカーが出場するクラスで、見てのとおり4ドアセダンが勝ってしまった。6835ccのV8エンジンは40年以上前にもかかわらず428hpを発揮している。

 表向きはジェントルなセダンなのに、隠し持った資質はスポーツカー以上のどう猛さ。遊び人の男のようなこの魅力こそAMGらしさなのかもしれない。

 この成功に端を発し、AMGはエンジンチューナーとしての道を歩む。AMGがメルセデスのチューニングブランドとして世界的に認知されたモデルが”The Hummer”。

 ハンマーというニックネームのそのクルマ、W124のEクラスにSEL(現在のSクラスに相当)に搭載された5.6LのV8を押し込んだのだ。このクルマがAMGの格を押し上げる。

 ”The Hummer”のエクステリアの押し出し感や、威圧感がすごいが、その一方で圧倒的動力性能からの安全性の確保もしていた。ワルそうに見えて実は優しい、こちらも二面性だ。

 1990年、AMGはメルセデスと協業協定を結ぶ。メルセデスのひとつのグレードとして世界中のメルセデス販売網でのセールスが始まり、メルセデスの新モデル開発段階からAMGが加わることができるようになった。

 その後、1999年には完全にメルセデスの子会社になり、現在まで精力的にメルセデスのAMGバージョンを世に送り続けている。

300 SEL 6.8 AMGはAMGの最初期のモデルだ。セダンなのに速い、これは現代のAMGモデルにも通じる部分
The HummerはEクラスに導入されクーペのワイドボディモデルもあった。6.0Lモデルも後々リリースされる
スーパーGTでも活躍を見れるAMGのモータスポーツ活動。F1からジェントルマンレースまで一貫してAMGが扱う。レース屋のDNAは今も続いている

乗って実感した、相反する要素を両立するAMGの二面性

 WEBベストカーが今回借りたのはS63 カブリオレ。ベースグレードであるS550 カブリオレの2145万円に対してS63 コンバーチブルは約600万円も高い2755万円。

 その600万円の差はAMGのクラフトマンが手組みしたエンジン、専用エアロパーツなどになる。差額とはいえ軽くクラウンが買える値段だ。そこまでしてAMGに乗る意味があるのだろうか?

 乗ってみてまず感じられるのは圧倒的な加速性能。高速道路の料金所から軽いアクセルワークで”グォォォォ”という感じで加速していく。法定速度まではあっという間だ。

 特筆したいのがAMGモデル特有の”ドロドロ”とした排気音。とても心地よく、不思議ともっと聞きたくなる。

 しかし高速走行中にあえてシフトダウンをしてみると、後方から”バリバリバリ”といかにも排圧が高そうな排気音がする。回転数にもよるがこれは「ちょいワル」で済むレベルではない。

 AMGエンジンの大パワーはギクシャクせず2220kgのズッシリとした車体を、オーナーにストレスを感じさせず加速させる。100km/h巡航時のエンジン回転数は1500rpm。

 静粛性でいえばN700系「のぞみ」より静かだ。揺れも少なく快適そのものだがひとたびシフトダウンをすれば、あの”怪”音がまた聞こえてくる。この二面性はパドルシフト、そして右足のアクセルだけでコントロールできる。

 ノーマルグレードより動力性能がよく、サウンドやデザインにも魅力があり、それでいて快適性は標準車同等、もしくはそれ以上。

 「ジューシーな唐揚げなのに絶対太らない」くらい無理のあるリクエストだが、それをキチンと実現しているのがAMGだと思う。

 アクセルを踏み込めばその加速は並大抵のスポーツカー以上だ。しかしルーフを閉じてジャズでも流せば本流のSクラスセダンと変わらない静粛性と快適性を両立する。

 左手のパドルシフトでシフトダウンしてアクセルを踏み込まない限り、だが。

サウンドも大きな魅力。ジェントルにもどう猛にもなれる、二面性のある姿は男性の理想かも!?
エンジンには職人のサインが入る。そんなドイツでの職人魂に思いを馳せるのもいい
クローズドよりもフルオープンが素敵だ。巻き込みがまったくないわけではないが、ヒーターの温風の妙で身体の芯はつねにポカポカだ

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