■あえてライバルを挙げるならインプレッサ
プリウスには明確なライバル車が存在しない。3ナンバーサイズの5ドアハッチバックは、欧州ではVWゴルフを筆頭に数多く用意されるが、日本国内では売りにくいために少数派だ。5ナンバーサイズのコンパクトカーが圧倒的に多い。
さらにプリウスはハイブリッド専用車だから、ライバル車を見つけにくい。
この位置付けはプリウスの強みでもある。
一定のジャンルに当てはめるとユーザーが絞られ、ライバル同士の競争に発展するが、プリウスにはそれがない。
従って販売店のセールスマンは「いろいろな車種のお客様がプリウスに乗り替える。先代型だけでなく、他社を含めたミニバン、SUV、セダンなどさまざまだ。ゴルフのような輸入車のお客様も多い」という。
優れた燃費性能と実用的な5ドアハッチバックボディ、現行型では先進の安全装備も加わり、ジャンルを問わず幅広いユーザーがプリウスに注目している。
それでもライバル車を挙げるならインプレッサスポーツだろう。ボディサイズはほぼ同じで、荷室容量も同程度。内装の質感と後席の居住性はインプレッサスポーツが勝る。
走行性能もインプレッサが2Lエンジンであればプリウスを上まわり、走行安定性と乗り心地のバランスも優れている。安全装備もインプレッサスポーツが充実して、緊急自動ブレーキを作動できる高度なアイサイトバージョン3、歩行者保護エアバッグが標準装着される。
つまり運転感覚、走行性能、実用性、安全装備で選ぶならインプレッサスポーツだ。
その代わりJC08モード燃費はプリウスの圧勝となる。インプレッサスポーツの2Lは、2.0i-Lアイサイトの2WDが17km/L。プリウスは前述のように37.2km/Lだから2倍以上の開きがある。
もっとも、この燃費数値の違いをどのように受け取るかは、ユーザーの走行距離によって変わるだろう。
レギュラーガソリンの価格を1L当たり135円、実用燃費をJC08モードの85%とすれば、プリウスの1km当たりの走行コストは4.3円、インプレッサスポーツの2Lは9.3円だ。1km当たりプリウスが5円安い。
1年間の走行距離が2万kmに達すると年額10万円の差額だが、1万kmなら5万円、5000kmなら2万5000円だ。環境性能は損得勘定だけでは語れないが、走行性能や質感を重視するユーザーの満足感でいえば、上記の金額を支払ってインプレッサスポーツに乗る選択も成り立つ。
また車両本体価格は、プリウスSツーリングセレクションが262万8327円。インプレッサスポーツ2.0i-Lアイサイト(216万円/2WD)に、LEDヘッドランプとクリアビューパック(9万1800円)を加えて225万1800円だから、装備が同等でもハイブリッドのプリウスはインプレッサスポーツに比べて約38万円高い。
エコカー減税はインプレッサスポーツが対象外でプリウスは免税だから、購入時に納める自動車取得税と同重量税が約8万円高い。これを差し引くと実質30万円の違いだ。
この金額差は約6万kmを走ると取り戻せる。そうなると1年間に1.5万km以上を走る使い方なら、プリウスとインプレッサスポーツの実質差額が4年間で取り戻され、その後はトクをする計算が成り立つ。
ほかのハイブリッド車の損得勘定でも、1年間/1.5万kmを分岐点にすることが多い。逆に1年間に5000kmでは12年を要するので、インプレッサスポーツを推奨する。
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