「ノンアルコールビールを15本飲んだ女性が酒気帯び運転で事故を起こした」。そんなニュースが巷で話題になっている。いわゆるノンアルコールビールを飲んで酒気帯び状態になることがあり得るのか!?
そこにはある誤解が潜んでいた。
文:編集部
写真:shatterstock.com
日本ではアルコール1%以上が「お酒」
昨今、ビールや発泡酒などの出荷量減少に対して、ノンアルコールビールの出荷量が大幅に増加。いまや日本のビール製造大手におけるノンアルコール飲料の出荷量はビール・発泡酒を上回るほどだ。
それゆえ“ノンアル”という言葉も浸透してきたが、そもそもノンアルコール飲料とは、どんな飲み物を指すのか?
日本の酒税法では、アルコール含有率1%以上が酒類=お酒と分類され、アルコール1%未満の飲み物は、お酒ではない清涼飲料となる。例えば甘酒もそのひとつだ。これが広い意味で“ノンアルコール飲料”と捉えられている。
大手のノンアルコールビールはすべて「0.00%」
いっぽう酒気帯び運転の基準は、呼気1Lあたりのアルコール量が0.15mg以上と定められ、ビール中びん1本程度の飲酒でも酒気帯びになる可能性があるとされる。
とすれば、「“多くの”ノンアルビールは1%未満のアルコールを含んでいるから、大量摂取すれば酒気帯び運転の原因になる」。そんな“仮説”も成り立つ。
しかし、取材を進めると、それは大きな誤解であることがわかった。
まず、話を聞いたのはアサヒビールだ。同社は「アサヒ ドライゼロ」など計5つのノンアルコール飲料を販売している。
では、それらのアルコール度数はどうなっているのか? アサヒビール広報の回答は次のとおり。
「アサヒ ドライゼロを筆頭に、当社で販売しているノンアルコール飲料はすべてアルコール0.00%の商品です」
続いてキリンビール広報にも話を聞いたが、
「弊社で販売しているノンアルコール飲料は、3アイテムすべてアルコール0.00%です」
と同様の回答だった。このほかサントリー、サッポロも現在販売しているノンアルコール飲料で、アルコール0.00%ではない商品はない。
スーパーなどの店頭も調査したが、「ノンアルコール」の棚に0.00%以外の商品は並んでいなかった。つまり、現在国産大手が販売するノンアルコール飲料は、すべてアルコール0.00%なのだ。
しかし、かつては「ビールテイスト飲料ならアルコール0.00%があたりまえ」というわけではなかった。
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