独自の魅力を持つキューブは新型投入計画も存在していた!!
いっぽう、キューブも発売から9年近くを経過した長寿モデルで売れ行きが伸び悩む。
マーチと同様にインテリジェントエマージェンシーブレーキが採用されず、JC08モード燃費は19km/Lだ。
ソリオマイルドハイブリッドの27.8km/L、ルーミー&タンクX・Sの24.6kmLに劣る。安全装備と低燃費が重視される今では売りにくい。
しかしマーチに比べると個性が強く、前後のシートはソファ風にデザインされて座り心地が柔軟だ。
内装には和室のテイストを盛り込み、メーカーオプションのガラスルーフにはSHOJI(障子)シェードを装着した。
半透明のシェードを引き出すと、直射日光を避けながら車内が適度な明るさに保たれる。背が高いので車内には開放感がある。
マーチのライバル車は多いが、全高が1600mmを上まわる1.5L以下のエンジンを搭載するコンパクトカーは、主力車種で見るとキューブ/ルーミー&タンク/ソリオ/ポルテ&スペイドだけだ。
従ってキューブの安全装備を充実させて燃費を向上させるマイナーチェンジを施すだけでも、相応の売れ行きが期待される。
フルモデルチェンジを行ってホイールベース(前輪と後輪の間隔)を伸ばし、後席の足元空間を広げてシートアレンジも充実させれば、走行性能の向上と相まって人気車に育てることも不可能ではない。
実際、以前は日産の内部で次期キューブの開発が進められていた。シエンタやフリードに相当するコンパクトな3列シートミニバンも計画していたが、その後に凍結されている。
マーチ、キューブの新型遠ざけるのは『海外市場』
2016年度(2016年4月から2017年3月)における日産の世界販売台数の内、日本国内が占める比率は、軽自動車を含めて約10%だ。
もはや国内市場は日産にとってオマケになり、マーチやキューブは特別仕様車などの追加があるものの、事実上放置されている。
今は各メーカーとも海外向けの車種に力を入れ、冒頭で述べたように国内で売られる新型車が滞っている。
その結果、世界販売台数に占める国内比率は、ダイハツを除くと各メーカーとも20%以下だ。そこを考えてもなお、10%の日産は国内軽視の傾向が強い。
日産の社名は、戦前にコンツェルンとして名を馳せた「日本産業」に由来する。「日産」を名乗るなら、もう少し日本の市場に目を向けるべきだが、どうやら日産にその気はないようだ。マーチとキューブは日産の今を象 徴している。
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