■木村拓哉氏を迎えて新CMと新ロゴ発表
2020年8月20日、日産自動車は、日本国内各部門の責任者や販売店代表、プレス関係者などを招いて、オンラインイベント「ALL NISSAN MEETING」を実施した。
これは「新生日産」を内外に示すための決起大会であり、ここで(ブランドアンバサダーに木村拓哉氏を迎え、新TVCMを展開することを含めた)新たなブランドコミュニケーションを開始することを宣言した。
いま日産は、大変な苦境に立たされている。
元CEOであるカルロス・ゴーン氏にまつわるもろもろの騒動に加えて、7月28日に開示した2021年3月期の最終赤字は6700億円にのぼる見込み(ルノー、三菱を合わせたグループ全体の赤字額は2兆円に迫る金額になる)。加えて感染症の影響により(復調の兆しがあるにしても)日本市場だけでなく欧州や北米市場で大きな打撃を受けている。
そうした厳しい現状のなか、今一度、日産自動車が持っている技術を見直して、盛り返そう、というのが今回の「ALL NISSAN MEETING」の狙いとなる。
ミーティングでは、日産自動車 第二製品開発本部の安徳光郎常務執行役員が、
「日産はこれまで、50万台以上の電気自動車を世に送り出してきましたが、搭載バッテリーに起因する事故や火災は1件も報告されていません。また、70万台を超えるプロパイロット搭載車を販売してきましたが、このプロパイロットに起因する事故も1件も報告されていません」
と語っている。立派な数字だ。徹底的に鍛え抜かれた品質管理の証明であり、日本の製造業の真髄ここにあり、といえる。電気自動車部門と先進運転支援技術部門において(特にそれぞれの分野での量産技術と品質管理において)、世界中のライバルメーカーに対して大きなアドバンテージを有しており、そのことへの揺るぎないプライドも感じられる。
当サイトを含む自動車情報専門メディアの多くは、近年の日産自動車に対して「ああしたほうがいい」、「これはよくない」と言ってきた。特にここ最近は「日本市場向け商品のモデルサイクルが長すぎる。古いモデルばかりじゃないか、もっと頻繁に新車を出しましょう」だとか、「わくわくするような走行性能やデザインのモデルが少ない。昔はもっとよかった」と言ってきた。
その考えが変わったわけではないが、なぜそういうことを書くかといえば、日産に期待しているし、日産に頑張ってほしいしからでもある(やや迷惑で身勝手な話ではあるが…)。
そうした我々でも、今回のミーティングの26:00頃から紹介されている生産現場からの声や、木村拓哉氏が出演する新CM(8月22日から放映開始)を見ると、正直めちゃめちゃ胸にグッと迫るものがある。がんばってほしいぞ日産。やっちゃってほしいぞ日産。
2020年5月28日に発表された事業構造改革計画「NISSAN NEXT」では、内田誠社長兼CEOが2023年度までに車種数を20%削減(69から55車種以下)するものの、商品ライフサイクルを4年以下に若返らせることを発表している。
今年から来年(2021年)にかけて、日産には新型ノート、新型エクストレイルといったドル箱級のフルモデルチェンジが控えており、さらに新型EVのSUV、アリアの正式発表も公言されている。上記「NISSAN NEXT」によると、新型フェアレディZの開発も進められているという(こちらはビッグマイチェンかもしれないが)。
1990年代後半に多額の負債を抱えていた日産は、「V字回復」という言葉を体現する復活を成し遂げた。今回もまた、復活してくれることを期待しています。
文:ベストカーWeb編集部 写真:日産自動車
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