スバル 赤帽サンバーの秘密 自社生産やめても「特別」

サンバーは、かつて「農道のポルシェ」という異名をとったスバル伝統の軽トラック/バン。エンジンを荷室の床下に搭載するなど、他社の軽トラにはない独自の設計は高く評価されてきた。なかでも“配送のプロ”御用達の特別なモデルが、赤帽専用サンバーだ。

そのサンバーに転機が訪れたのは2012年のこと。スバルは軽自動車の自社生産から撤退し、以降サンバーは、ダイハツ製となった。しかし、ダイハツのOEMとなったサンバーにも、スバルは赤帽仕様を設定。“新生”赤帽専用サンバーは、今なおプロの仕事を支えるための「特別さ」を持っている。

文:片岡英明/写真:SUBARU


「専用のこだわり随所に」赤帽サンバーの歴史

2011年まで生産が続けられたスバル製の赤帽専用サンバー
2012年まで生産が続けられたスバル製の赤帽専用サンバー

軽くサンバー赤帽仕様の歴史についておさらいしておこう。

サンバーに赤帽仕様が誕生したのは、小口配送や引越しなどに活躍している赤帽の組合員から「タフで使い勝手のいい軽トラックを出して欲しい」という要望が出されたからである。

最初は他のサンバーと大きくは違わなかった。だが、少しずつ赤帽組合員から寄せられた要望を受け入れ、採用している。

長時間の運転が多いため、シートを専用に設計し、ルームランプも明るいものに変更した。また、高速走行の機会も多いので、バンパーもエアダム一体型の空力性能に優れたものを装着している。

大きく違うのはパワートレーンだ。赤いヘッドカバーの専用エンジンで、バルブなどを強化し、プラグも高価な白金プラグを奢った。フリクションを徹底的に減らし、実用燃費をよくするとともに、耐久信頼性も高めている。

使う期間が長いし、走行距離も伸びるトラックだから、20万kmの走行までは定期的な整備だけで堪えられるようにスペシャルパーツを組み込んだ。当然、パーツの品番は違っており、20万kmまではオーバーホールしないでも済むように設計されている。最初のうちはパーツの写真撮影も許可しないなど、門外不出の秘密のエンジンだったのだ。

また、積載量が多いからブレーキも強化タイプだ。フロントにはベンチレーテッドディスクを採用し、ハンドブレーキも仮眠しやすいように収納式とした。この赤帽仕様の開発を通して、スバルは耐久信頼性を磨いたのだ。赤帽仕様からフィードバックされ、他の量産車に採用されたパーツも少なくない。

30年続いた自社製からダイハツ製の“赤帽スペシャル”に

パネルバン ハイルーフ仕様の赤帽専用サンバー(現行型)
パネルバン ハイルーフ仕様の赤帽専用サンバー(現行型)

サンバーの赤帽専用モデルは、軽自動車の排気量が550cc上限だった1980年代に誕生した。国土交通省の型式指定を取った車両で、いろいろなところに改良を加え、強化パーツも積極的に組み込んだ。だが、スバル製のサンバーは2012年2月をもって生産を終えた。そこで2012年4月に7代目のダイハツ ハイゼットをベースにした赤帽仕様が誕生している。

バリエーションは2種類のトラック、そしてパネルバンと4人乗りのバンを設定した。すべてハイルーフ仕様で、トラックはハイルーフとオープンバンがある。オープンバンは構造等変更車のため、持ち込み登録とした。2WDとセレクティブAWDがあり、2WDには3速ATもあるが、AWDは5速MTだけの設定だ。

現行の8代目サンバーは2014年秋に登場し、赤帽専用モデルも送り出されている。こちらもトラックとパネルバン、4人乗りのバンを設定した。

主役のトラックは、ハイルーフとオープンバンがあり、後者は構造等変更車で持ち込み登録となる。カマチを取り外すことができるから、背の高い荷物も無理なく積み込むことが可能だ。いずれも先代と同じようにハイルーフ仕様である。

バンには引き続きスマートアシストが用意された。最新モデルは歩行者も認識する最新のスマートアシストⅢに進化している。

最新の赤帽サンバーも変わらぬ“専用設計”

スバル製の赤帽仕様と比べると専用装備や変更点は少なくなった。だが、3気筒の660ccエンジンは、パーツを変更するとともに精度を高め、耐久信頼性を向上させている。ちなみにパネルバンと4WD方式のバンは46ps仕様ではなく、パワーに余裕のある53ps仕様のエンジンだ。

トラックとオープンバンは過酷な使用を考慮して、リアのリーフスプリングを4枚に強化した。また、トラックはアンダーコートとシーラーの塗布量を増やすなど、シャシーと下回りのサビ対策を徹底している。

インテリアではプリントレザーシートを強化塩ビ仕様とし、耐久性と座り心地を向上させた。ディーラーオプションのオーバーヘッドシェルフも大型のものを収納できるように剛性アップした強化品だ。赤帽用インナーフックも専用装備のひとつである。ダイハツ製となっても、サンバーの赤帽仕様はタフだし、使い勝手も一級の実力派なのだ。

最新号

ベストカー最新号

【次期クラウンはマツダとコラボ!?】トヨタ巨大提携で生まれる新車|ベストカー 12月10日号

 ベストカーの最新刊が本日発売!  最新号では、トヨタと国内メーカーとの巨大提携によって生まれる新型車の重要情報をお届け。ベストカースクープ班が独占入手した情報を詳しく紹介する。   そのほか、ダイハツロッキー&トヨタライズDebu…

カタログ