■不平等な関係はいつまで続くのか
ルノーの2017年12月連結決算は、43.4%を出資する日産からの持ち分法投資利益が最終利益の50%以上を占めており、業績不振のルノーにとっては、日産との強い絆を失えば、経営面での大きなダメージを受けることになりかねない。
このため、仏政府はルノーを通じて日産との関係強化を目論み、ゴーン容疑者は逮捕前に「日産とルノーの経営統合」を画策していたとも伝えられている。
真相が解明されないうちに、解任をあっさり認めれば、日産に支えられているルノーのパワーバランスが低下することを懸念して見送ったのだろう。
いっぽう日産側は、ルノーに対する持ち株について現行の15%の出資では「不平等」な提携関係のまま。これを25%まで高めれば、日本の会社法の規定ではルノーが持つ日産の議決権が消える。
生活費を日送りする親から無理難題の要求を押し付けられても反論できない親子関係では愚痴や不満が募る。日産は資本関係の上ではルノーの連結子会社だが、株式の時価総額や販売台数、ブランド力などでルノーを大きく上回っている。
■再び「日本企業」に戻る可能性は?
それにしても、この先提携関係がどのように変化するのか見通せない中で、(日産側は)西川社長の主導で反旗を翻して大波乱を起こすほどの大胆な解任劇を仕掛けたのだろうか。
日産にしてみれば「規模の利益」を得るために親子の縁をすぐに断ち切らないまでも、水面下で極秘裏に企てたルノーの統合をいったんリセットして、より独立性を高める対等以上の関係を再構築する狙いがある。「それには3社連合の実権を握るゴーン会長を追放するしかない」との思惑が見え隠れしている。
日産が描く「ゴーン後」のシナリオとしては、万が一ルノーとの提携が解消された場合、三菱商事が後ろ盾の三菱自動車との関係を一段と深めながら、新たなパートナー探しも必要になるだろう。
ただ、国内メーカー8社のうち、完全子会社のダイハツを筆頭にマツダ、スバル、スズキの4社はすでにトヨタ自動車と提携関係にある。あと1社はホンダだが、最近は自前主義を返上し、GMなどとも提携の輪を広げつつある。
提携話はともかく、今回の「ゴーン逮捕・解任」は日産が外資に頼らず再び”日本企業”として生き残るための第一歩との見方も考えられる。
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