2023年5月10日、トヨタ自動車は2023年3月期(2022年4月~2023年3月)の通期連結決算を発表。今期は資材高騰や部品流通不安定化などにより営業収益 37兆1,542億円(前期比増減5兆7,747億円( 18.4% ))、営業利益 2兆7,250億円(前期比増減 -2,706億円( -9.0%))と、前年同期比では増収減益となったが、同時に発表された来期(2024年期)は営業収益 38兆円、営業利益 3兆円と、国内企業で過去最高、前人未到の領域へ到達する見込みを発表した。
文/ベストカーWeb編集部、画像/TOYOTA(会見同時中継よりスクリーンショット)
■来期(2024年度)はBEVを535.6%に
「まずは、2023年4月28日に公開したダイハツの認証不正問題についてご報告申し上げます。当局立ち合いのもと再試験を実施し、問題ないことを確認し、当局と相談のうえ、一部出荷を再開いたしました。今後も第三者機関とともに真因の調査を進め、ご報告申し上げます」
決算会見の壇上に上がったトヨタ自動車の佐藤恒治社長は、まず先日のダイハツによる衝突安全認証試験における不正問題(東南アジア向けダイハツ車および一部トヨタ車)についての、経過報告から会見をスタートした。
今期の決算内容は、冒頭で述べたとおり(過去最高を更新した前期と比べると減益とはいえ)国内企業としては大変な成績であった。世界のあらゆる地域で販売台数を伸ばし、グループ総販売台数は約1055万8000台。来期はここからさらに伸ばして(前期比107.8%見込み)、約1138万台を販売、税引き後の利益は過去最高を更新して3兆円に至る見込みだという。
記者から要因を聞かれた佐藤社長は、「商品力を軸にした経営」を挙げた。
「長くデフレが続いてきた環境にあって、商品力を磨き続けてきたことが大きいと考えています。コモディティ化せず、商品力を高め、”強いビジネス”を展開し続けられる企業体質にできたことが要因ではないかと」
2024年度の販売目標台数は「電動車比率」も合わせて公表され、2023年度のトヨタ・レクサスブランド961万台のうち電動車284.9万台(29.6%)から、2024年度は同ブランド1040万台のうち電動車384.3万台(37.0%)と、台数・比率ともにここをさらに伸ばして、「過去最高」の中心的存在となることが明示された。
トヨタはすでに、2026年までにグローバルで10モデルの新型BEV発売を明言しているが、2024年度の時点で(2023年度の3.8万台から)20.2万台(前年比535.6%)と大幅増を見込んでおり、明らかにこのジャンルで強力な(そして販売台数が見込める)新型車を用意していることがわかる。
先月発表された佐藤社長の「新体制方針発表会」では、「HEV車」の利益率が大幅に上昇していることを公開したトヨタ。今回は「HEVだけでなくBEVも、FCVも、PHEVも、そしてもちろんそれ以外も」という全方位戦略でさらに突き進むこと、その戦略が「数字」をともなっていることを、明確に示したかたちといえる。
なお2024年度のトヨタの研究開発費は1兆2400億円(2023年度は1兆2416億円)、設備投資費は1兆8600億円(同1兆6058億円)を見込んでいるとのこと。「強い企業体質」を土台にして、引き続き全力で(とんでもない勢いで)次世代技術の開発へ突き進んでゆくようだ。
また会見では「納期の長期化対策についてどう考えているか」という質問もあり、これについては順次対応を進めており、たとえば(納期自体の短縮だけでなく)注文後、自分のところに届くクルマがいまどのような場所でどのような状況にあって、どういう順番で並んでいるかの情報共有を進めたり、また(地域的、販売店種類別ではなく)特に待っている人や急いでいる人へ優先的に配車できるような仕組みも整えており、現時点(2023年4月時点)における国内のトヨタ車の納車待ちは約80万台となっていて、そのうち「どうにか4月末までに納車してほしい」という人は約8万人、そこに優先的に新型車が届くように調整しているという。
決算資料によると、2024年度は日本市場だけで販売25万台増(206.9万台→232万台)を見込んでいるトヨタ。こうした長納期化の解消による納車増もソロバンに入れていると見られる。つ…強い……。
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