工場の動物保護も高評価? 北米でバカ売れにはワケがある!!  知られざるスバル北米大躍進の謎

■55年前には北米で年間わずか332台しか売れなかったスバル車

日本のスバリストにあたるスバルファンは「スビー」と呼ばれる
日本のスバリストにあたるスバルファンは「スビー」と呼ばれる

 スバルが米国での販売を開始したのは1968年のことである。わずか332台の販売からスタートした。それが10年後の1978年には10万台を超えて10万3274台、2006年には20万台超の20万703台を販売。

 そこからは凄まじい勢いで販売台数を伸ばしており2019年にはついに70万台を突破した。13 年間で 3.5 倍(20 万台→70 万台に)に増加し日系含めて米国で販売される主流ブランドの中で最高の拡大となり販売台数の記録を更新している。

 特に、人気はアウトバックとフォレスターでこの2台は米国におけるスバルのロングセラーモデルであるその人気ぶりは様々な調査でも明らかになりつつある。

 米国の大手マーケティング会社 J.D.パワー2023 年3月に発表した米国顧客サービス指数 (CSI) 調査ではスバル・オブ・アメリカ社が量販車所有者のディーラーサービスに対する顧客満足度ランキングで第1位を獲得したと発表。

いて2023年4月にはフォーブス誌による初の「社会的影響力に優れたアメリカのベスト ブランド」のリストが選出されたが、スバルは何と!このリストの総合2位を獲得している。

 こちらは10万人を超える消費者を対象とした HundredX の調査に基づくもので、全体的なブランド価値と信頼、社会的スタンス、持続可能性、コミュニティサポートの 4 つのカテゴリー2,000 以上のブランドに対して400 万近くの評価を集めた結果である。

 総合1位はREI(1938年創立のアウトドアブランド)でそれに続くのがスバルである。ちなみにSONYは5位、Appleは6位、トヨタは11位という結果となった。

 日本のクルマ好きとしてはとても誇らしい結果ではあるが、ここまで高い評価を得ている理由はどんな理由があるのだろうか?アメリカで近年とくにウケている背景を調べてみた。

■やっぱり突き詰めた安全性は北米でも高評価

スバルはレスキュー作業のデモなどに車両を提供している
スバルはレスキュー作業のデモなどに車両を提供している

 スバル車の評価がとくにアメリカで急激な高評価を得るようになった理由はいくつか考えられる。もともと、アメリカは未舗装路でも安心して走ることができ、安全性の高いクルマが好まれる傾向にある。

 卓越した悪路走破性を発揮する4×4システムを備え、アイサイトに代表される先進の安全装備、そして、IIHS(米国道路安全保険協会)のクラッシュテストではトップレベルの結果を出しているスバル車は最高の選択となるのだろう。

 その証拠に安全機能が充実していて事故率も低いスバル車は保険料の安さでも有名だ。2023年5月半ばに米国で公表された「保険料が安いベスト30車種」に1位のフォレスター以下、クロストレックやアウトバックなどスバル車はなんと12車種もランク入りしている(他の日本車はホンダ1車種、マツダ2車種のみ)。

 また、前述の米国道路安全保険協会 (IIHS)とコンシューマー レポート誌によって選ばれる「10 代のドライバーに推奨するベスト中古車」というものがある。

 2015年から2018年および2022年型のアウトバック、2018年型以降のフォレスター、2018年および2022年型のインプレッサ、および2013年から2021年型のレガシィが、10代の若いドライバーのために最高の中古車として選ばれている。つまり、安全性が高いことで保険料が安くコスパが良い最高のクルマとしての評価を得ているのだ

 これらの事実に加えてコロナ禍によってアメリカで好まれるクルマにも大きな変化があったことも功を奏している。「蜜を避けてソロ、または少人数の家族でアウトドアレジャーを楽しむ志向がさらに高まっている」ということだ。

 スバルは出展していないが、2021年~2022年に開催された世界最大級の自動車用品見本市であるSEMA SHOWでも米国トヨタ、米国日産、米国ホンダなど日系メーカーのデモカーにはこれでもか!という位、アウトドアレジャーを楽しむためのカスタムカーやキャンピングカーが出展された。

 米国全体でキャンプや釣り、トレッキングなどをクルマと共に楽しむレジャー熱が高まっている。そこで、アウトドアレジャーと日常使いにも最高のフォレスターやクロストレックなどのスバル車がこれまで以上に高く評価されている状況にある。

次ページは : ■スバル唯一の「国外生産拠点」の存在

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