自動ブレーキも軽トップ! eKクロスで独自色も
そして、装備では安全面が注目される。歩行者も検知できる緊急自動ブレーキに加えて、車線を逸脱しそうになった時は、自動的にブレーキを作動させて元の車線に引き戻す制御も行う。
ペダルの踏み間違い事故を防ぐ機能は、前進と後退の両方向に備わり、作動時はエンジン出力を下げるだけでなくブレーキも制御する。
運転支援機能も採用した。セレナやエクストレイルと同様の「プロパイロット」が用意され、車間距離を自動調節しながら追従走行したり、車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御する。
同様の機能をN-BOXも採用するが、追従走行を行うクルーズコントロールの機能が異なる。N-BOXは30km/h以下はキャンセルされるが、eKシリーズとデイズでは、パーキングブレーキの電動化と併せて全車速追従型とした。
しかも、渋滞など追従走行中に停車した場合、3秒以内なら先行車が発進すると自車も自動発進する。
3秒以上の時は、レジュームスイッチの操作で再発進する。さらに3分以上が経過すると、電動パーキングブレーキの自動作動に切り替わり、停車を続けられる。
速度が下がった時にクルーズコントロール機能がキャンセルされるのは、安全面から好ましくない。速度の低下に応じてペダル操作を再開しなければならないからだ。
今はこの点を考慮して全車速追従型が増えており、eKシリーズとデイズは、軽自動車で実現させたことが注目される。
eKシリーズについては、日産デイズに用意されないeKクロスを設定したことにも目を向けたい。デリカD:5と同じく、ダイナミックシールドと呼ばれる三菱のSUVに共通するフロントマスクで、eKクロスが三菱車の一員であることを示す。
従来のエアロパーツを装着したeKカスタムでは、ブランド力の違いからデイズハイウェイスターを選ぶユーザーが多かったが、eKクロスなら三菱車が積極的に選ばれる。従来のeKシリーズの売れ行きは、デイズと同ルークスの30%くらいだったが、新型車ではもう少し増えるかも知れない。
新型eKは“三菱にとってのN-BOX”になれるか
ちなみに、今の三菱ディーラーの店舗数は、全国で約600店舗にまで減った。日産の2100店舗に比べると30%程度だ。軽自動車の販売ランキングにおけるeKシリーズの順位は高くないが、1店舗当たりの販売台数という見方をすれば意外に多い。新型eKシリーズは、三菱の新しい売れ筋商品になる。
ほかのメーカーでは、ホンダが挙げられるだろう。N-BOXはこの数年間にわたり、国内販売の総合1位だ。直近の2018年度(2018年4月1日~2019年3月31日)には23万9706台を届け出して、総合2位のスペーシア(15万8397台)に大差を付けた。
そのためにN-BOXは国内で売られるホンダ車全体の32%を占めており、ホンダの軽自動車全体では、国内販売の約半数に達する。三菱のeKシリーズも、同様になる可能性が高い。
ただし、それが三菱にとって、あるいはホンダにとって幸せかといえば、判断は難しい。軽自動車は1台当たりの粗利が少なく、あまり儲からないからだ。
粗利の少ない軽自動車でも、販売すれば車検、点検、保険などの仕事が生まれる。そのメリットは小さくないが、小型/普通車とのバランスも大切だ。
特に近年では、各メーカーとも売れ筋が軽自動車に偏り、小型/普通車の新型車投入が滞ってきた。今では国内販売全体の軽自動車比率が36~38%に達するが、30%前後に抑えることが理想だ。
三菱、日産ともに、今後は日本の交通環境に合った小型車の開発と販売に力を入れるべきだ。
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