ダイハツ不正問題で国内累計2.4万台のグランマックス型式指定取消…再取得メドは「かけがえのないモデルではありますが…」

ダイハツ不正問題で国内累計2.4万台のグランマックス型式指定取消…再取得メドは「かけがえのないモデルではありますが…」

 2024年1月26日、国交省は型式指定検査において不正が判明したダイハツ工業に対して、グランマックス/タウンエース/ボンゴの3車種について「型式指定を取り消す」との行政処分が下された(手続きは1月16日から開始)。これを受けて、今後、このグランマックスはどうなるのか、販売現場ではどのような対応をしているのか、ダイハツ工業は記者の質問に答えた。

文/ベストカーWeb編集部、写真/ダイハツ工業、ベストカー編集部

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■「まったく見通せていない、という状況」

 今回、型式指定が取り消されたダイハツ・グランマックストラック/トヨタ・タウンエーストラック/マツダ・ボンゴトラックの3車種(各カーゴ(バン)は対象外)は、2020年6月に発表されたダイハツの小型トラックとそのOEM車両。現行型3車種合計で累計国内販売台数は約2万4000台。

 この3車種は、すくなくとも型式指定再取得(出来たとすれば)までのしばらくのあいだ、生産も、もちろん新車販売もできない。「このクラスのトラックがどうしても欲しい」というユーザーは、現在流通している中古車を狙うしかなくなる。

ダイハツグランマックス。型式指定の再取得は…ある……のか?? 頼むよ……
ダイハツグランマックス。型式指定の再取得は…ある……のか?? 頼むよ……

 現行型グランマックスは、軽自動車よりひと回り大きく、小型トラック(2tサイズ)と比べると小型な、利便性の高い商用トラック。全長×全幅×全高は4295×1675×1920mmで、価格は178万7000~212万9000円だった。エンジンは新開発の小型車用1.5L・NAの一本で、トランスミッションは5MTと4ATが用意され、駆動方式も2WDと4WDがラインナップされている。

 カタログ燃費は新しいWLTCモードで12.9km/L(2WD・5MT)となっている。トラックの荷台フロア長は2480mmとなっていて、これは軽トラックのハイゼットトラック(フロア長:2030mm)と比較してもゆとりのサイズとなる。

 国内では唯一無二のサイズ感をもっており、現在利用している販売業者などを営むユーザーからは「替えの効かないクルマ」と言われている。

 いっぽうでダイハツ工業が昨年末に明らかにしたところによると、このモデルの前面衝突試験に際して、本来は衝突時の衝撃を感知したセンサーによりエアバッグが展開するが、タイマーで展開するなど試験車両への不正な加工が発覚した。国交省ではこの不正加工を「特に悪質だ」と判断して、今回の型式指定取り消しに至った。

 今回の行政処分を受けて、今後この「グランマックス」というモデルの動向について、記者から「型式指定の再取得」を目指すことになると思うが、どれくらいの時間がかかると見込んでますか? という質問が飛んだ。

 ダイハツ工業のコーポレート統括本部井出慶太統括部長は、上記質問に、以下のとおり回答。

「現在、ダイハツ工業としては、国交省さまからの是正命令を受けて、二度とこうした不正問題を起こさないよう企業体制を見直し、刷新を含めた再発防止策を作成中であります。まずはそうした体制づくりを優先しておりまして、もちろんこのクルマ(グランマックス)はサイズとしても性能としても、かけがえのないクルマでございますから、現時点では型式指定の再取得を目指しておりますが、このような状況でありますので、(型式指定の再取得の)時期については、まったく見通せていない、という状況でございます」

 今回の不正問題を受けて、企業体制の見直しと再発防止策の実施の一環として、「ダイハツの事業領域の見直し」という話も出てきました。それと、いま伺ったお話しを踏まえると、このグランマックス(1.5Lサイズのトラック)も、このまま生産終了……という可能性もありうる、ということでしょうか?

「先ほど申し上げたとおり、グランマックスはダイハツにとっても、これはありがたいことですがこのクルマをご愛顧いただいている皆さまにとっても、かけがえのないクルマだと考えていただけております。今後、ダイハツという会社、ブランドがどのようなかたちに生まれ変わるかはわかりませんし、今まさにそれを議論している最中でございますが、こうしたかけがえのないクルマに関しては、皆さまに求められている限り、供給してゆけるよう努力してまいりたいと考えております」

「型式指定の再取得は目指すが、いまはそれどころではない」ということのようだ。なお国交省によると、指定取り消しの日までに製作された車両については、「型式指定の取り消し」の効力は及ばないものとされる。

 ダイハツはこれまで「かけがえのないクルマ」をたくさん作ってきたし、そうしたクルマは多くのユーザーの生活を支え、「相棒」として愛されてきた。だからこそ認証試験不正問題など決して起こしてはならかなかった。ダイハツには「替えの効かないクルマ」がたくさんあった。だからこそ再びまた、安くていい、安全で法規に則ったクルマを作り始めてもらいたい。

 ダイハツの立て直しに期待いたします。

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