2024年4月8日、ダイハツ工業は都内で会見を開き、井上雅宏社長、星加宏昌副社長、桑田正規副社長出席のもと、昨年(2023年)12月に公表した認証不正試験問題について謝罪し、再発防止と今後の事業方針について発表した。
文、写真/ベストカーWeb編集部
■トヨタ監督下で国内小型車の開発は続行
「毎日届くダイハツユーザーの皆さまからのお叱りにすべて目を通しました。また同時に届く温かいお言葉に、ダイハツ再建を誓いました。」
「もう一度、ダイハツがあってよかったと言っていただけるような会社にすべく全力をつくします。」
今年(2024年)3月よりダイハツ工業の代表取締役社長に着任した井上雅宏氏(前トヨタ自動車南米本部長)は、確認体制の抜本的な改革により再発防止を誓うとともに、今後のダイハツの方向性を語った。
最も重要なのは、これまでダイハツが担ってきた「(トヨタグループ内での)小型車の開発」について、親会社であるトヨタが「開発から認証まで責任を持つ」とした点。
会見と同時に発表された公式リリースは以下のとおり。
「ダイハツのリソーセス・知見に限界があり、再発防止を徹底する観点から、小型車は、トヨタが開発から認証までの責任を持ち、ダイハツがその委託を受け、実際の開発を担う形態へ、今後の切り替えモデルから順次変更いたします」
ダイハツが開発を担った国内小型車というと、国内ではトール/ルーミー、ロッキー/ライズ、(現在は生産終了中の)ブーン/パッソがある。また新興国向けにヤリスエイティブ、プロドゥアアジア、トヨタアギヤなども担当。
これらの開発、認証について「トヨタが責任を持つ」というかたちになる。
発表リリースによれば、これまでトヨタとダイハツの橋渡しの役割を担っていた新興国小型車カンパニー(ECC)は解消し、2024年5月から「開発から認証までの機能」のレポートラインを、トヨタの「Toyota Compact Car Company」へ変更。事業・商品計画に関わるリソーセス管理・適正化についても、トヨタが責任を持つ体制に変更するとのこと。
さらに「将来的には」と留保をつけつつも「軽自動車のBEVにもチャレンジしたい」とのフレーズもあった。
井上社長によると、今年3月の着任以降、ダイハツの販売現場を回った際、出荷停止に関して「いいかげんにしろ、いつまで待たせるんだ、お客様に返す言葉がないんだぞと言われました。それと同時に、早く再開してほしいという温かい励ましの言葉もいただきました」…とのエピソードも語られた。
認証不正問題が発覚した昨年末時点で、ダイハツの事業範囲拡大が問題視され、再建防止のため「ダイハツは(国内事業に関しては)軽自動車専門メーカーになるのか」とも噂されたが、今回の事業方針発表により、(トヨタの監督下に入るものの)今後も小型車開発を続けることになる。
質疑応答で記者から「(トヨタからの開発確認、認証確認が入ることで)個々のモデルの開発期間は伸びるのか?」、「これまでトヨタは開発や認証の確認はしてこなかったのか?」という質問があった。
これに星加副社長が「開発期間は、再発防止策で明示したとおり、開発と認証の確認ステージを新たに設けるため1.4倍程度伸びる見込みですが、トヨタの確認で伸びる…ということではない。一緒に確認するということになります」とのこと。
また二つ目について、「ダイハツはこれまで、我々がやらなくてはならない、我々だけで成し遂げなければならない、という使命感にかられていた。それで今回このような(認証不正)問題を起こしたこともあり、今後はグループ内で助け合いながら、いろんな目で確認できるような体制にしてまいりたいです」とのこと。
日本自動車界を揺るがし、国内全工場生産・出荷停止という事態を招いたダイハツの認証不正問題。この新体制への転換で復活できるのか。百年に一度の自動車変革期に、日本自動車産業を支える一角として、再建と活躍を期待します。
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