■「経営/幹部の認証業務全体における理解と関与が不十分」
今回の(追加発覚ぶんも含めた)認証不正問題を受けて、国交省はトヨタ自動車に宛てて「是正命令」を出した。トヨタが是正命令を受けるのは初めて(過去、日野自動車、豊田自動織機、ダイハツ工業が受けている)。
国交省によると、
「トヨタ自動車が講ずるべき措置を含めた抜本的な再発防止策を策定し、型式指定申請に係る違反を是正すること。 また、上記再発防止策を1ヶ月以内に報告するとともに、その後の実施状況について、当面四半期毎に報告すること。」
とのこと。
トヨタ自動車はこれを受けて、公式リリースで以下のとおり説明。
「認証業務を正しく行えていなかったことを深く反省し、ステークホルダーの皆さまに、ご心配、ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
一連のご指摘や社内調査を通じて、弊社としてはこのたびの事案の原因が、現場と経営の両面にあったと捉えております。
(1)現場における原因
認証申請に必要な書類を作成する際の社内の運用ルールが不明確
認証業務における必要なリソーセスの明確化と管理が不十分
認証業務の重要性に対する認識が不足
(2)経営面における原因
経営/幹部の認証業務全体における理解と関与が不十分
これらの認識をもとに正しい認証業務を実施するための仕組み・体制に見直すとともに、認証プロセスの責任と権限をあらためて明確化し、正確なデータ管理など基盤の整備を進めてまいります。これらを再発防止策としてすみやかにまとめ、国土交通省にご報告いたします。」
■「撲滅は無理」なら早期発見、対処を
2022年3月、日野自動車のエンジン認証に関する不正が発覚してから2年半、「認証不正問題」は日本の自動車界を揺るがし続けている。
本年6月、トヨタの豊田章男会長は「責任者は自分」としつつ、「不正の撲滅は無理だと思う」と語った。実際、トヨタが全力で調査してもなお、あとからぽろぽろと追加で認証不正が発覚している。要因としては、今回トヨタが明言しているように「経営/幹部の認証業務全体における理解と関与が不十分」が根底にあるわけだ。
豊田会長自身が何度も繰り返しているとおり、国の認証制度は日本における自動車産業の(生産や出荷、販売についての)「根幹に関わる問題」。不正は許されない。国際協調もあり、認証検査は守るべきルールだ。
こうした(「通常の利用に問題はない」としても)不正が発覚することによる問題はたくさんあるが、認証制度そのものへの信頼感が損なわれることにもなるし、「百年に一度の自動車革命期」において、よりよい認証制度のありかたへの議論も止まる。なにより当該車種に乗っているユーザーは不安にかられ、納車を待つユーザーはさらに納車待ちが長期化するおそれがある。
今回は、先般から続いていた認証不正問題を受けて、各メーカーによる過去10年間ぶんの調査と報告、そこから国交省の立入り検査結果があっての発表…ということなので、ここでひとつの区切りを迎えたとも言えるわけだが、それはつまりトヨタグループ全体、自動車産業全体での、認証不正対策の始まりでもある。
現在、トヨタ自動車ではグループ内で、「撲滅」が無理だとしても、早期発見、対応の方法を検討、協議、実施している。
これを最後にしてほしいが…せめて見つかったら早急に対処し、影響を最小限に留めていただきたい。頼むよ…。
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