新型インプレッサのデザインは、先代の路線を継承しつつ発展させた、いわばキープコンセプト。
メイン写真のとおり先代モデル(手前)と並べてくらべると精悍さが増しているのが分かるが、基本デザインは本当によく似ている。
ならばここはひとつ、そもそも先代モデルの評価はどうだったのか、プロの採点を振り返ってみよう。
元日産自動車のチーフデザイナーだった故・前澤義雄氏と清水草一による水かけ対談、さてその評価は噛み合った?
ベストカー 2012年2月26日号
「デザイン水かけ論」
3代目フォレスターのような完成度には至っていない
清水「今回の本題はインプレッサです。以前はプロトタイプを一緒にショールームの中で見ましたけど、自然光の下でのインプはどうでしたか」
前澤「ま、一般のレベルになったな、というだ」
清水「それは、デザイン音痴のあのスバルがついに、という意味ですか?」
前澤「違う。スバルはフォレスターやR1、R2のようなデザインも生んでいる。インプレッサがようやく、という意味だ」
清水「R1、R2はともかく、またフォレスターかぁ。そんなにいいですかね」
前澤「フォレスターは悪くない。というより、国産にはほかにないんだ。で、インプレッサのセダン」
清水「G4ですね」
前澤「デザインのレベルは以前より上がったが、インプレッサたる個性がない」
清水「というか、4代目レガシィの復活、って感じでしょう。たたずまいはまさにあの延長線上にあるし、サイズもほぼ同じだし」
前澤「確かに車格は上がっている。しかしインプレッサの個性は薄まった」
清水「僕はインプの個性云々より、これは4代目レガシィのモデルチェンジだって捉えてるんですよ。5代目のレガシィはもっと大型のブランニューモデルだから、インプレッサこそレガシィの正統な後継車に思える。でも4代目インプは、4代目レガシィと比べると、デザインレベルで負けてる。そこが問題では」
前澤「……どっこいどっこい」
清水「いや、どう見ても4代目レガシィのほうが美しかった!」
前澤「(聞いてない)次にハッチバックだが、プロポーションは面白いが、リアピラーがバランスを崩している」
清水「え? そうかなあ」
前澤「あのリアピラーにはまったく存在感がない。5ドア車にとって非常に重要なところなのに、実に希薄だ」
清水「……まあ、希薄といわれれば。でも欠点にも見えないですけど」
前澤「真後ろはともかく、斜め後ろから見るとダメ」
清水「まるで理解できません。僕の結論としては、ハッチバックも悪くないけど、セダン同様、フォルムやボディの面が、どっか未熟に見えるんですよ。そこそこいいけど、いまひとつ磨き込みが足りない」
前澤「悪くはない。普通のレベルにはなっている。しかしもうちょっとだ。フォレスターみたいな完成度には至っていない」
清水「フォレスター云々を除けば、だいたい同意見ですかね」
前澤「……(無言)」
清水「国産車にも、手放しで絶賛できるくらいのクルマが出てきませんかねぇ」
前澤「俺のなかでは、アクアの評価が高まっている」
清水「え、ホント?」
前澤「写真を見る限りでは。トヨタにしては秀作だ。破綻がない」
清水「破綻がないのより、華のあるデザインが欲しいですよ」
前澤「問題はボディカラーだ。単純な黄色だのオレンジだの、子供用の色ばかり。どうしてなのか」
清水「そこが一番の華じゃないですか!」
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