前澤義雄の採点…74点
セダンは個性が足りないし、HBはリアピラーがイマ一歩だな
4代目インプレッサが発売。2011年夏内示のプロトタイプ段階からすっかり完成度を高めての姿は、ナカナカのもの。
先代までのインプレッサ特有の存在感の弱さが消え、そう言っちゃあなんだが一人前のミドルクラスセダンの風格が備わったって塩梅だ。
だが、そうなると欲が出てくる。なんでもっとスポーティなインプレッサとしての個性を出せなかったんだ、と、言いたい。
セダンと5ドア共通では、フロントの構えがナミすぎる。ヘッドランプは悪くない。だがグリルがレガシィみたいにデカく、また目立たせようとしているのが逆にフツーっぽい感じだ。
例えばフードパネルに立体的な勢いを見せ、その先に引き締まった小振りのグリルを配して精悍にするとか。
また、プロポーションとしてはスポーティな5ドアだが、ハッチバックで重要なリアピラーが、ナゼかバランスを考えずに描かれたサイドウィンドウの後端によって哀れなカッコとなり、スポーティさやプロポーションのシッカリ感を大きく損なってる。
チョットした後方視界だの乗降性だのよりもはるかに大事な商品要素があると思うんだがなあ。
清水草一の採点…78点
スバルのデザイン力なら「まぁまぁ」じゃ満足できない!
最近、前澤さんがやたら「フォレスターには及ばない」とか「フォレスターには負ける」みたいな表現を使うから、前澤さんがそんなにフォレスターを高く評価してたのかどうか、バックナンバーを見てみたんだ。
そしたら点数は「77」。そんなに高くないんだよね。前澤さんの場合、80点いけば合格レベルだけど、そこまでいってない。
「ほかにない」とはいっても、77点でそこまで誉めるのはいかがなものか?
そう言ったら、「……ま、79点か80点」と、点数が上がりました。
でも前澤さん、R1には95点付けてんだよね。フォレスターを80点としても、ものすごい開きがあるんだけどねえ。
考えてみれば、スバルはR1やR2を生み出したわけで、デザインに関する瞬発力というか潜在力があることは間違いない。だけど実際はバラつきが大きくて、外す時は大きく外すのが伝統だ。
そんなスバルにあって、新型インプレッサは、文字通り「まあまあ」であり「悪くない」デザインだ。でも、潜在力は発揮できてないよね。数少なくなりつつあるオリジナル車なんだから、持ってる力を思いっきりぶつけてほしかった。もったいない。
前澤義雄
1939年生まれ、東京都出身。1965年にプリンス自動車に入社。以後、日産自動車のデザイナーとしてプリメーラ(P10)やフェアレディZ(Z32)などのデザインを手がける。
同社退社後は、フリーの自動車評論家としてベストカーの「デザイン水掛け論」を中心に活躍。寡黙ながらも深い知見で、はっとする気づきを提示してくれた同連載は、読者にも好評だった。享年75
清水草一
1962年生まれ、東京都出身。週刊プレイボーイの編集者を経て、モータージャーナリストとなる。自ら所有するフェラーリや高速道路行政関連にも造詣が深い。
ベストカーでは「デザイン水掛け論」や、現在も連載中の「エンスー解放戦線」などで活躍中
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