アクアもフィットも「SUV風」!? どれが本物? なんちゃってクロスオーバー急増中

フィットクロスター/SUV度指数:75点

フィットクロスターは街にもアウトドアにも似合うクロスター専用のエクステリアデザインを採用。足元には185/60R16タイヤを採用
フィットクロスターは街にもアウトドアにも似合うクロスター専用のエクステリアデザインを採用。足元には185/60R16タイヤを採用

 こうしたクロスオーバーSUV車が増える傾向はどどまるところをしらない。2019年10月23日から始まった東京モーターショーでも世界初公開された新型フィットにSUVテイストのクロスターが設定されていたのだ。

 市街地からアウトドアレジャーまで多彩なシーンになじむ専用エクステリアデザインと大径タイヤを採用。インテリアでもシート表皮やインパネソフトパッドに撥水性の高い素材を使い、コンパクトなボディでタフなイメージを表現している。 まだ詳細は明らかにされていないが、発売は2020年2月を予定している。

 クロスターといえば、2019年10月18日に発売されたフリードのSUVテイストのクロスターと同じ名称だ。どうやら、トヨタのグランパーと同様、ホンダは他車種にも展開していくようだ。

なぜクロスオーバーSUV風のクルマをラインアップするのか?

 各メーカーがSUVやクロスオーバーを豊富に用意する理由は、大きく分けて2つある。まずは実用性とカッコ良さの両立で、世界的な売れ筋カテゴリーになったことだ。RAV4は2018年の世界販売台数が84万台とされ、1か月平均で7万台に達する。こうなると各メーカーともSUVに力を入れる。

 2つ目の理由は、ランドクルーザーのような悪路向けの本格オフロードSUVを除くと、乗用車のエンジン、プラットフォーム、サスペンション、4WDシステムなどを使って開発できることだ。

 それでもRAV4は悪路走破力を重視して独自のメカニズムも採用したが、クロスオーバーのフリードクロスターなどは、フリードのボディを使って開発され、サスペンションの設定や最低地上高も標準ボディと同じだ。そうなるとエアロパーツを装着するような要領で、手軽にクロスオーバーを開発できる。

 開発者によると「既存のボディを使って売れ行きを効果的に増やせるSUVとクロスオーバーは、都合の良いカテゴリーだが、最低地上高を高めるか否かで開発コストが異なる。

 最低地上高を高めると、その分だけデコボコを乗り越えやすくなり、本格的な悪路へ乗り入れる機会も増える。そうなるとボディやサスペンションの耐久性も向上させねばならない。

 特にボディ側は、標準タイプも含めて、予め対策を講じておくことが必要だ。重心も高まり、走行安定性の対策も行わねばならない。逆に外装パーツの装着だけなら、これらの困難を避けられるが、走破力は高まらず外観のSUVらしさも薄れる」とのことだ。

 このようにSUVとクロスオーバーは、車種によってチューニングの度合いが違う。悪路や雪道の走破力を多少なりとも高めたいなら、最低地上高に余裕を持たせた4WDを選びたい。

 例えばキャンプ場のようなフィールドで、わずか10mのヌカルミのために立ち往生したり、デコボコで下まわりを擦るといったトラブルを避けられる。悪路に乗り入れる機会はなく、舗装路上だけで使うなら、外装パーツを加えたクロスオーバーで十分だ。

フリードクロスター/SUV度指数:65点

フロントグリルとバンパー、サイドシルガーニッシュ、リアロアスポイラー、ルーフレール、専用アルミなど標準モデルのフリードとは異なる専用エクステリアが与えられているが、車高は標準モデルと変わらない。
フロントグリルとバンパー、サイドシルガーニッシュ、リアロアスポイラー、ルーフレール、専用アルミなど標準モデルのフリードとは異なる専用エクステリアが与えられているが、車高は標準モデルと変わらない。

 そしてクロスオーバーは変更箇所が少ないこともあり、価格は全般的に安い。例えばフリードのクロスターホンダセンシングは、標準ボディのGホンダセンシングに比べて22万円高いが、ナビ装着用スペシャルティパッケージ、LEDフォグランプ、上級シート表皮、専用デザインのアルミホイールなどを標準装着する。これらの価格換算額が約18万円だから、ドレスアップは約4万円になり、いわゆるエアロ仕様よりも少し安い。

■フリード
B(FF、6人乗り)……199万7600円
G(FF、7人乗り)……218万2400円
G(FF、6人乗り)……216万400円
G(4WD、7人乗り)……241万8900円
G(4WD、6人乗り)……239万6900円
クロスター(FF、6人乗り)……238万400円
クロスター(4WD、6人乗り)……261万6900円

フリードハイブリッド
G(FF、7人乗り)……258万3900円
G(FF、6人乗り)……256万1900円
G(4WD、6人乗り)……279万8400円
クロスター(FF、6人乗り)……278万1900円
クロスター(4WD、6人乗り)……301万8400円

 ただし、フリードクロスターには、SUVの定番装備ともいえるフェンダーのホイールアーチを縁取る樹脂パーツが装着されない。これを付けると全幅が増して3ナンバー車になり、ボディに沿って開閉するスライドドアの設計変更も必要になるからだ。

 開発段階では、ホイールアーチに樹脂風のステッカーを貼ることも検討したが、生産しにくく断念した。最低地上高なども同じだからSUVらしさは希薄だが、外観が好みに合えば前述のように買い得だ。

アンダーガードが目立つクロスターのリアスタイル。リアのガーニッシュとドアミラーがボディ同色ではなく、シルバーとなるのが標準モデルと違う部分だ
アンダーガードが目立つクロスターのリアスタイル。リアのガーニッシュとドアミラーがボディ同色ではなく、シルバーとなるのが標準モデルと違う部分だ

 アクア/シエンタ/ポルテ/スペイドのグランパーは、主にパーツの変更だから、さらにSUVらしさは薄れる。

 その代わり価格も安い。アクアSグランパーの場合、ヘッドランプをLEDに変更して、価格の上乗せは4万5100円だから、外装パーツやシート生地の変更コストはほとんど加えられていない。LEDヘッドランプの価格だけで、クロスオーバーらしさを演出している。

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