燃費向上に限界はないのか? 日本メーカーの最新燃費技術


 クルマの性能で重要な位置を占めるようになった「燃費性能」。近年は乾いた雑巾を絞るような、ギリギリの改良を積み重ね、少しずつ燃費向上を図っている。

 一口に燃費改善といっても、そこにはさまざまな技術がある。今回は日本メーカーの燃費技術を整理してみる。

 文:永田恵一
ベストカー2016年6月26日号


日本のお家芸ともいえるハイブリッド技術

 日本車の低燃費技術において今や当たり前となった横綱的存在がハイブリッドである。

 日本車のハイブリッドは大きく4つに分かれる。構造がシンプルな順に挙げていこう。

 (1)大型化したオルタネーターで、わずかであるが加速のアシストと減速エネルギーの回生を行うもの。

 燃費の向上は少ないものの、コストが安く、エコカー減税の増額まで含めるとユーザーのメリットが大きいオルタネーター式(セレナのスマートシンプルハイブリッド、スズキのSエネチャージとマイルドハイブリッドが該当)。

(2)小型のモーターが加速の際のアシストを行うアシスト式(ホンダIMAとスバルのハイブリッドが該当)。

(3)日産の1モーター2クラッチとホンダのi-DCDのトランスミッションに組み込まれた駆動、発電を兼ねるモーターを持つ1モーター式。

(4)発電用、駆動用のモーターを持ち、孤高の燃費を誇るトヨタ車全般、ホンダのi-MMD、アウトランダーPHEVが該当する2モーター式。

 今後の動向としては、(2)のアシスト式は費用対効果が見劣りし廃れつつある。いっぽう、その他の3タイプに関しては費用対効果も良好で、今後の発展も大いに期待できる。

 クリーンディーゼルもマツダのSKYACTIV-Dを筆頭にランクルプラドやデリカD:5に搭載され、日本でも普及が進みつつある。

 特にマツダのSKYACTIV-DはNOx触媒を使うことなく日本の厳しい排ガス規制をクリアし、高価になりがちなディーゼルエンジンの低コスト化を実現した功績は大きい。

実用燃費に優れる小排気量ターボは少ない

 ガソリンエンジンの進歩も着実に進んでいる。代表的なのがダウンサイジングターボ。

 「気筒数の削減まで含めた小排気量化を行い、削がれたパワーは過給機を加えることで補い、エンジンの小型化、軽量化も含め燃費と動力性能を同時に向上させる」のが狙いだ。

 VWが先駆けとなり、欧州で普及したダウンサイジングターボは、日本車への採用は遅れがちだったが、ここ数年でトヨタ、日産、ホンダ、スバル、スズキが参入。

 特にステップワゴンに搭載される1.5L直噴ターボは常用域では2LのNAエンジン以上のトルク感を実現しており、フィーリングは上々だ。

 しかし日本車ではドイツ車のように同等の性能を持つNAエンジン車以上の実用燃費を誇るダウンサイジングターボが少ないのが残念なところ。新しい技術だけに今後の発展に期待したい。

 ダウンサイジングターボの基盤にもなるNAエンジンの進化も見逃せない。特に注目したいのがヴィッツやカローラなどに搭載されるトヨタの1.3Lと1.5L直4 NAと、マツダのSKYACTIV-G全般が該当する高圧縮NAエンジンだ。

 トヨタは通常のポート噴射、マツダは直噴という違いはあるものの、どちらも今では可変バルブタイミング機構の普及で珍しいものではなくなった熱効率に優れるアトキンソンサイクルやスムースな排気を助ける4-2-1排気管の採用などにより、高圧縮化に成功。パワーと燃費を同時に向上させている。

次ページは : エンジン本体以外の新技術も続々登場

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