ホンダCR-Xデルソル:電動ルーフが空を飛ぶ!? 遊び心満載のオープンスポーツ

最後に紹介するのは、1992年3月に登場したホンダCR-Xデルソルだ。今回取り上げた5台のなかでも、個性の強さという点では群を抜いている。
CR-Xといえば、軽量コンパクトなボディと高回転型エンジンによる俊敏な走りで人気を集めた、ホンダを代表するスポーツモデルである。

最大の特徴は、なんといっても「トランストップ」と呼ばれる電動オープンルーフだ。一般的なオープンカーのように幌を折りたたむのではなく、取り外し式の金属製ルーフを電動機構によってトランク内へ格納するという、非常に凝ったシステムを採用していた。
ボタン操作によってトランクリッドが持ち上がり、そこから伸びた機構がルーフを受け取って収納する。その一連の動きは、まるでロボットの変形シーンを見ているようだった。
しかし、従来のCR-Xファンからすると、デルソルは少々方向性が違っていた。軽快な走りを楽しむコンパクトスポーツから、オープンエアを楽しむスペシャルティカーへ。
その変化を受け入れられなかったユーザーも多かったのだろう。また、凝った電動ルーフ機構は重量増や構造の複雑化にもつながり、従来型CR-Xの軽快さを求める人には魅力が薄れてしまった。
結果として販売は低迷し、日本では1997年に販売を終了。CR-Xの名前もここで途絶えることになった。
しかし、今あらためてデルソルを見ると、これほど遊び心に満ちたクルマも珍しい。実用性やコストだけを考えれば、あのような複雑なルーフ機構を採用する必要はなかったはずだ。
売れたクルマが必ずしも記憶に残るとは限らない。逆に、販売不振に終わったクルマが何十年経っても語り継がれることもある。
ヴォルツ、ティーノ、アヴァンシア、マークXジオ、そしてCR-Xデルソル。
いずれも商業的には成功したとは言い難いが、そこには開発者たちの新しいクルマを作ろうとする情熱が詰まっていた。
今のクルマは安全性も燃費も快適性も飛躍的に進歩した。しかし、その一方で、思わず「なんでこんなクルマを作ったんだ?」と笑ってしまうような、突き抜けた個性を持つモデルは少なくなった気がする。
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