愛車を少しでも長持ちさせたい! そう考えて、なるべく走行距離を増やさない、エンジンを高回転まで回さない、タイヤの空気圧を高めにするなど、気を遣っている人も多いはず。しかし、よかれと思って続けている習慣が、実はクルマの寿命を縮めているかもしれない。愛車を長持ちさせるために知っておきたい、意外な落とし穴を解説していこう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock、ベストカーWeb編集部
長持ちさせたいからクルマはあまり乗らない
大切な愛車だからこそ、できるだけ走行距離を増やしたくない。週末だけ乗る、雨の日は乗らない、普段はガレージにしまっておく。そんなクルマ好きは少なくないだろう。
中古車を購入する際にも、走行距離が少ないクルマほど程度がよいと思いがちだ。しかし、走行距離が少ないことと、機械的なコンディションがよいことは必ずしもイコールではない。
実はクルマという機械は、適度に動かしているほうが調子を維持しやすい。長期間乗らずに放置することは、エンジンだけでなく、バッテリーやブレーキ、タイヤなど、さまざまな部分に悪影響を及ぼす可能性があるのだ。

まず注意したいのがバッテリー。エンジンを停止していても、時計やセキュリティシステム、各種コンピューターなどが電力を消費している。
クルマを走らせればオルタネーターによって充電されるが、長期間乗らなければ自然放電や暗電流によって充電量が減少する。久しぶりに出かけようとしたらエンジンがかからない! なんてことにもなりかねない。
さらに厄介なのが、ブレーキのサビである。
一般的な鋳鉄製ブレーキディスクは、雨や湿気によって表面にサビが発生しやすい。軽い表面サビであれば通常のブレーキ操作によって除去されることが多いが、長期間放置するとサビが進行し、ブレーキの引きずりや異音、制動力の低下につながる場合がある。
ブレーキキャリパーの摺動部分やピストンが固着してしまえば、修理費用もバカにならない。
タイヤにも悪影響がある。長期間同じ場所に駐車していると、車重によって接地部分が変形し、フラットスポットと呼ばれる現象が発生することがある。
軽度であれば走行によって改善する場合もあるが、長期保管による変形が残れば、走行中の振動や乗り心地の悪化につながる。
そしてエンジンオイルも、走行距離が少なければ劣化しないというわけではない。時間の経過に加え、結露による水分の混入や、短距離走行による燃料希釈などによって劣化が進むことがある。
つまり、年間走行距離が少なくても、メーカーが指定する期間に従ってオイル交換を行う必要があるのだ。
では、どのくらいの頻度で走らせればよいのか?
使用環境や車種によって異なるが、長期間乗らないことが多いなら、週に1回程度はクルマを動かす習慣をつけたい。
ただし、駐車場でエンジンを数分間かけるだけでは不十分。バッテリーの充電量を十分に回復できない場合があるうえ、エンジンが暖まらないまま停止を繰り返すと、かえってオイルの劣化を進める可能性もある。
できれば30分程度、交通状況に応じて適度な距離を走り、エンジンや駆動系、ブレーキなどを正常な作動温度まで暖めることが望ましい。ただし、30分走れば必ず十分に充電できるという意味ではない。
もちろん、走行距離が増えればタイヤやブレーキなどの消耗は進む。しかし、走らせずに保管しておけばクルマが長持ちするという考え方も正しくない。
愛車を長持ちさせる秘訣は、走行距離を極端に抑えることではなく、定期的に動かして適切なメンテナンスを行うことなのである。

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