ひと昔前は「3列目があることに価値がある」とばかりにミニバンが一世を風靡した。だが、今は「ミニバンの実用性は3列目のシートで決まる」。これが鉄則だ。
そこで、ミニバンをサイズに応じて3クラスに分類し、SUVも加えて、最も優れた車種と最下位を明らかにする。3列目が本当に使える車、使えない車はどれだ!?
文:渡辺陽一郎/写真:編集部、HONDA、NISSAN
【ライトミニバン】シエンタVSフリードはどちらが優れる?
■このカテゴリーの対象車種
・トヨタ シエンタ
・ホンダ フリード
・トヨタ ウィッシュ
・マツダ プレマシー
・ホンダ ジェイド
全高が1800mm以下に収まる比較的コンパクトなミニバンの最優秀車種は、シエンタとフリードが僅差で争う。
外観を見ると少し背の高いフリードが有利に思えるが、床と座面の間隔が不足した。床の高さはステップワゴンと同等なのに、全高は130mm低いから、着座位置も下がって床と座面の間隔が足りない。大人が座ると膝が持ち上がってしまう。
シエンタは全高が低く、膝先空間も狭いが、渾身の薄型燃料タンクの採用で床と座面の間隔はあまり不足していない。3列目に座った乗員の足が2列目の下に収まりやすいこともあり、意外に快適に座れる。僅差ではあるがシエンタが最優秀だ。
ただし、3列目を畳んだ時の自転車の積みやすさはフリードが勝る。
最下位はジェイド。床と座面の間隔が乏しく膝が持ち上がり、頭上の空間も狭く、シートのサイズも小さい。完全な補助席だ。
またジェイドは2列目の座面も1列目に比べて55mm短く、大腿部のサポート性が悪い。つまり違和感なくマトモに座れるのは1列目だけになる。
【3列目 ベスト】トヨタ シエンタ
【3列目 ワースト】ホンダ ジェイド
【ミドルワンボックス】ノア、セレナ、ステップワゴン三つ巴の優劣は?
■このカテゴリーの対象車種
・トヨタ ノア/ヴォクシー/エスクァイア
・日産 セレナ
・ホンダ ステップワゴン
標準ボディが5ナンバーサイズに収まる全高が1800mm以上のミニバンは、全般的に3列目の居住性が優れている。
最優秀はセレナだ。ただし、3列目のシートにスライド機能を装着した仕様であることが条件になる。標準ボディ、ハイウェイスターともにVセレクションを選ぶと、割安な価格で標準装着される。
後端まで寄せるとミドルワンボックスとしては3列目の足元空間が最も広くなり、床と座面の間隔も相応に確保される。シートのサイズもライバル車に比べると少し大きい。従って最も快適だ。
僅差でヴォクシー/ノア/エスクァイアもセレナに続いている。
最下位はステップワゴン。頭上と足元の空間はヴォクシー/ノア/エスクァイアと同等だが、3列目を床下格納にしたから、深く座ると乗員の腰骨付近にシートの骨格が当たる。
広さではなく、座り心地で最下位になった。その代わり3列目が床下格納だから、荷室にアレンジした時は広くて使いやすい。
【3列目 ベスト】日産 セレナ
【3列目 ワースト】ホンダ ステップワゴン
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