■10/12まで日産本社ギャラリーに展示、急げ!!
エンジンの搭載位置変更やチューニングが施されていることからも想像できるが、この試作車は、実際に走行が可能で、それについて一つの短いエピソードが残されている。
「ミスターZ」の愛称で親しまれ、初代フェアレディZ誕生に深く携わった片山豊氏が、1997年のある休日、栃木テストコースにてこの先行検討車に試乗。「人車一体感とZのDNAを感じ、同車に好感を示した」という。
その後、新型Z開発プロジェクトは一時中断されるも、着実に進んでいたことに進められていたこと、関係者への意見聴取までは進んでいたことが伺える。
不思議なのは、この試作車が20年以上にも渡り、日産社内のどこかに保存されていたことだ。これまで展示車として活躍したこともなく、日の目を見ることはなかったモデルにも関わらず、だ。いったい誰が、なぜ、保存し続けていたのだろうか。
これは想像に過ぎないが、この「ミドルスポーツ」は、Z33誕生によほど大きな影響を与えた試作車であったのではないのだろうか。Z33に使用されるFMプラットフォームは、フロントミッドシップを採用している。また1999年のデトロイトショーで公開された「240Zコンセプト」も、240SXがベースとなっている。このコンセプトカーは、米国デザイン部門の独自のスタディであったものの、開発者たちが理想とするZは、コンパクトかつ軽量なZの姿だったのだろう。
そんなZに関わった様々な人々の気持ちを想像させる試作車「ミドルスポーツ」は、2020年10月12日まで、2001年デトロイトモーターショーで世界初公開された「ニッサンZコンセプト」とともに、神奈川県横浜市の日産グローバル本社の1F「日産グローバルギャラリー」にて展示中だ。
「Zコンセプト」は、その見た目からもZ33のコンセプトカーであることは一目瞭然だが、細部を見てみると、市販車との様々な違いを発見できるにも面白い。さらに現行型だけでなく、初代フェアレディZも「Z-L(1970年)」と「240ZG(1972年)」も展示されている。Zファンは、ぜひこの機会をお見逃しなく。
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