軽自動車販売でスズキとデッドヒート!! ダイハツが首位堅持できた理由とその裏側

乱高下が激しかった主力のタント

タントの年間販売台数は前年比でマイナス26%。1~9月は前年比マイナス、10~12月はプラス傾向と台数の乱高下が見られた
タントの年間販売台数は前年比でマイナス26%。1~9月は前年比マイナス、10~12月はプラス傾向と台数の乱高下が見られた

 形勢を逆転させた10月に、ダイハツが前年の1.4倍届け出した内訳を見ると、軽乗用車、軽商用車(キャブオーバーバンとトラック)がほぼ均等に増えている。いずれのカテゴリーも約1.4倍増加した。

 ダイハツの販売推移で注目されるのはタントの変化だ。2020年には対前年比のマイナス傾向が強く、コロナ禍の影響が収まってきた8/9月も前年に比べて40%以上減った。

 2020年1~9月の累計届け出台数で、タントの対前年比はマイナス29%であった。それが10月は対前年比がプラス18%になり、11月は再び半減したが、12月は19%増えた。トータルでは26%の減少で乱高下が激しかった。

 注目度の高いSUV感覚の軽自動車では、スズキハスラーが2020年1月から新型の販売を開始して、12月までに8万114台を届け出した。

 ライバル車のダイハツタフトは、2020年6月に新規投入されたから、2020年の累計は4万2942台と少ない。その代わりムーヴ+ムーヴキャンバスが10万4133台で手堅く台数を稼いだ。

ムーヴキャンバスの2020年の販売台数は本家ムーヴが4万6950台に対し、それを上回る5万7183台で、年間トップ死守に大きく貢献
ムーヴキャンバスの2020年の販売台数は本家ムーヴが4万6950台に対し、それを上回る5万7183台で、年間トップ死守に大きく貢献

 商用車も、ダイハツハイゼットカーゴは、スズキエブリイバンに比べて2020年の販売累計が5189台多い。ダイハツハイゼットトラックも、スズキキャリイを1万9837台上まわった。

 2020年は各車種ともに、コロナ禍の影響を受けて届け出台数が前年を下まわっている。この減少をいかに抑えるかが勝負の鍵を握った。2020年1~9月における軽自動車の累計届け出台数では、ダイハツは前年に比べて22%減り、スズキのマイナス13%よりも深刻であった。

 そこで10月以降は前年に対する落ち込みを抑え、1~12月の累計では、ダイハツは15%、スズキは7%の減少に抑えた。ダイハツの落ち込みは依然として大きく、両社の差も1万2688台まで縮まったが、辛くも1位を守ることができた。

未使用車や在庫車の行方

2020年式の中古車が多く出回っている。走行距離10km程度の未使用車やディーラーの試乗車を積極的に中古車市場へ流し、顧客の選択肢を増やす戦略だ
2020年式の中古車が多く出回っている。走行距離10km程度の未使用車やディーラーの試乗車を積極的に中古車市場へ流し、顧客の選択肢を増やす戦略だ

 その代わりダイハツに限った話ではないが、中古車市場には、2020年式の軽自動車が多く流通している。ダイハツではタントが際立つ。在庫車を中古車に卸した走行距離が10km以下の届け出済み未使用中古車も多いが、2000~3000kmを走った2020年式も豊富だ。

 販売店に尋ねると、「未使用車(届け出済み未使用中古車)を増やすと、新車と販売競争になったり、中古車価格の値崩れにも繋がる。そこで販売店が試乗車や業務に使い、走行距離を少し伸ばした車両を中古車に卸す。そうすれば中古車の価格帯も広がり、お客様も予算に応じて選びやすくなる」という。

 在庫車を中古車に卸す時の方法も多様化してきた。

 このようにダイハツは、基幹車種とされるタントの販売下降を抑え、6月に投入したタフトを伸ばし、軽商用車も着実に売ることで1位を保った。

スズキは国内販売の総合順位で2位に躍進!!

最近のスズキは普通車に注力している。2020年の国内販売(軽自動車+小型/普通車)の上位は1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ホンダ
最近のスズキは普通車に注力している。2020年の国内販売(軽自動車+小型/普通車)の上位は1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ホンダ

 またスズキが軽自動車の販売1位に執着しなくなったことも挙げられる。スズキはこの数年間、小型/普通車を10万台以上登録しており、ダイハツの約2倍に達する。2020年は、スバルの登録台数よりもスズキの方が多かった。2020年に国内で売られたスズキの新車の内、17%を小型/普通車が占めている。

 今のスズキが小型/普通車にも力を入れることで、ダイハツとの競争が緩やかになった面もある。2020年の国内販売(軽自動車+小型/普通車)の総合順位は、1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ホンダ、4位:ダイハツ、5位:日産と続く。

 ダイハツは軽自動車の1位を守り、スズキは「軽自動車+小型車」の2位になって総合自動車メーカーを目指す。両社の方針の違いが際立ってきたことも、ダイハツが1位を守った理由のひとつに含まれる。

2020年軽自動車販売ランキングBEST15
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