今や希少な「日本向けの日本車」! 国内専用車の魅力とは?

 日本車なのに“日本向け”は少ないのが実情? 今や希少となった国内専用車の魅力とは。

 グローバル化が進むなか、今や日本車は世界中で売られるようになった。そうしたなかで世界に向けて作られる日本車が増えたいっぽう、日本市場に特化した日本車は数少なくなってきている。

 しかし、日本に特化しているからこそ、日本の道や使われ方に合った作り込みができるのが国内専用車の魅力。本稿ではそうしたモデルの最新モデルを5台紹介しつつ、国内専用車に通じる魅力を掘り下げていく。

文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ 日産 スバル スズキ

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■スバル 新型レヴォーグ

新型レヴォーグ。全長4755mm×全幅1795mm×全高1500mm。立体駐車場の利用に最適なサイズだ

 新型レヴォーグは今のところ国内専用車だ。開発者は「左ハンドル仕様を用意する予定はない」という。かつて国内ではレガシィがスバルの主力車種だったが、近年はボディが拡大されて、現行型はツーリングワゴンを廃止した。

 そこで国内で人気の高かったレガシィツーリングワゴンの後継として、先代(初代)レヴォーグが開発された。先代モデルは海外でも売られたが、開発は国内向けに行われている。背景には、欧州を除くと、海外でもワゴン需要が急減した事情もあった。

 国内専用車の魅力という意味で注目されるのはボディサイズだ。全長4755mm、全幅1795mmとされ、後者の数値は1800mm以内に収まる。最小回転半径も5.5mだから、小回り性能にも不満はない。全高は1500mmで日本の立体駐車場も使いやすい。

 ミドルサイズのワゴンでは車内が広く、後席の頭上と足元にも余裕がある。子育てを終えて、ミニバンが不要になったユーザーが、レヴォーグに乗り替えても窮屈に感じにくい。

 運転すると1.8Lターボエンジンは、回転が上昇するに連れて加速感が活発になる。開発者は「ターボの特徴を少し積極的に表現した」という。この運転感覚も、2Lターボを搭載したレガシィツーリングワゴンを知っているユーザーには懐かしい。

 アイサイトは進化して、右左折時における直進車両や歩行者にも対応する。交差点で事故が多発する道路環境に配慮した。

 運転支援機能のアイサイトXは、高速道路における渋滞時のハンズオフ・アシストも可能だ。ステアリングとペダル操作の両方が継続的に支援され、ドライバーの疲労軽減と安全性の向上に役立つ。この機能も渋滞の多い日本の高速道路に適している。

■トヨタ クラウン

クラウン。全長4910mm×全幅1800mm×全高1455mm

 初代クラウンの発売は1955年だ。トヨタにとって最初の量販乗用車で、国産初の量販高級車でもあった。当時の高級車市場は輸入車で占められていたが、クラウンをきっかけに日本車も参入を開始している。

 クラウンは国内市場を活性化すべく誕生したから、その後も国内市場を大切に開発されている。

 トヨタ車の海外生産比率は1990年代後半に60%、2000年代には70%、2010年に近付く頃には80%を超えて、セダンは次々と海外向けの商品に変わっていく。しかし、クラウンは、一部を海外で販売したものの、基本的には国内向けを貫く。

 現行型のボディサイズは、以前のマジェスタと同等で全長は4910mmに達するが、全幅は1800mmに抑えた。この全長×全幅の比率が、道幅の狭い国内専用モデルの証になっている。

 2020年5月以降は、トヨタの全店が全車を扱う体制に移行。クラウンの販路も広がったが、トヨタ店でアルファードやハリアーに乗り替えるユーザーも増えて、クラウンの売れ行きは下降した。

 そのためにクラウンをSUV化する報道も聞かれるが、国内の道路環境に適した快適な乗り心地と静粛性は、セダンボディにより達成されたものだ。

 低重心で、後席とトランクスペースの間に隔壁を設けた高剛性のセダンボディがなければ、日本を最優先させるクラウンの価値も得られない。この路線を追求しながら活路を見い出すことが、伝統を受け継ぐクラウンの生き方だ。セダンを諦めるのはまだ早い。

■日産 新型ノート

新型ノート。全長4045mm×全幅1695mm×全高1520mm。開発者は「今までの全長はライバル車よりも長かった。そこで新型は短く抑えた」とコメント

 コンパクトカーは薄利多売の商品だが、軽自動車に比べて販売台数は少ない。そこで通常は国内と海外の両方で売られるが、新型ノートは今のところ国内専売だ。開発者は「海外にはマイクラやジュークがありノートは国内専売にした」という。

 国内向けの特徴は、先代型に比べてホイールベース(前輪と後輪の間隔)を20mm、全長を55mm短く抑えたことだ。プラットフォームなどを共通化するルノー ルーテシアも同様に短く抑えたから、ノートのみの変更ではないが、開発者は「今までの全長は(4100mmだから3900mm台の)ライバル車よりも長かった。そこで新型は短く抑えた」とコメントしている。

 新型のエンジンはe-POWERのみで、先代型と違って純ガソリンエンジンは用意されない。

 開発者は「先代型の国内販売状況を見ると、e-POWERの比率が70%以上だったからノーマルエンジンは用意しなかった。また新型ではインパネ周辺の質感を高めた。同様の内装を低価格のノーマルエンジン車に採用することはコスト的に難しい。2種類のインパネを用意する必要も生じるからe-POWERのみにした」という。

 ユーザーにとってノーマルエンジンの廃止はメリットではないが、国内専用車の事情を色濃く反映させている。

■スズキ 新型ソリオ

新型ソリオ。全長3790mm×全幅1645mm×全高1745mm。先代よりボディを拡大し、後席と荷室の拡大を図った

 軽自動車を除くと、国内重視度の最も高い車種がソリオだ。

 従来型を含めて、全幅はコンパクトカーの中でも特に狭い。開発者は「裏道でもスレ違いができるように全幅を抑えた」という。現行型は車内を広げる目的で全幅を20mm拡大したが、ドアミラーの両端で測った実質的な車幅は変えていない。最小回転半径も4.8mで、水平基調のボディは視界も良いから、混雑した日本の道路環境に最適だ。

 全長と全幅は小さいが、全高が1700mmを超えるから後席を含めて車内は広い。後席を畳めば自転車も積める。スライドドアは、ミニバンから乗り替えたユーザーにとって馴染みやすい。

 また基本的な機能はスペーシアのような背の高い軽自動車に準じるから、生活環境の変化で、小型車にアップサイジングするユーザーにも適する。新型では衝突被害軽減ブレーキなども進化させた。

 このようにソリオは、国内向けのミニバンや軽自動車からの乗り替えにも適したコンパクトカーだ。スズキの軽自動車造りのノウハウも生かされている。従来型ソリオの後発商品として登場したルーミーも、この点に注目して開発され、国内市場向けの小型車になっている。

■トヨタ シエンタ

シエンタのサイズは全長4260mm×全幅1695mm×全高1675mm

 ミニバンはノアのようなミドルサイズを中心に普及を開始したが、やがて小さな車種も求められるようになった。そこで開発されたのがシエンタだ。

 まず2001年にホンダ モビリオ(フリードの前身)が発売され、燃料タンクをフィットと同じく前席の下に搭載することで、車内後部の床を低く抑えた。

 このライバル車として開発されたのが先代(初代)シエンタだ。薄型燃料タンクによってモビリオと同様に床が低く、ボディサイズの割に車内は広い。

 2代目の現行シエンタは2015年に発売され、全長が4260mmの5ナンバーサイズながら、薄型燃料タンクを継承して室内空間はさらに広げた。外観は個性的で内装も上質だ。日本のユーザーを見据えて開発され、売れ行きも堅調に推移している。

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