案外知られていないけど…縁の下の力持ち「フロアマット」の種類と長所と短所

ゴム・ビニール製は、掃除がしやすいが滑る危険が

 マリンスポーツやウィンタースポーツをする方、お子さんのスポーツの送り迎えなど、車内がドロドロになることが想定される場合は、ゴムやビニール、樹脂製のマットだと、掃除がしやすく便利だ。フラットタイプのほか、フランジ付きのバケットタイプもある。

 もちろん、メーカー純正品も用意されており、中には、純正カーマットの上に敷いて、固定フックを共有できる商品もある。

 メリットは、起毛タイプに比べて価格が安いこと、防水性・防汚性に優れていること、水洗いや拭き取りが可能で掃除が簡単なこと等だ。デメリットは、吸水性が低いので雨粒や溶けた雪がマットに残る(汚れを掃除しないと再び汚れが付く)、濡れた靴だと音が鳴る、滑りやすい、防臭効果はない、などだ。車内の汚れが気になる、という方は、1セット持っておくと便利かもしれない。

 個人的には、普段は毛足の長いカーマットを使い、海や雪山へ遊びに行くときはゴム製カーマットに交換するのが最適かな、と考えている。

ホンダN-BOXの純正アクセサリ「オールシーズンマット」。縁高タイプは、フロアカーペットマットとの同時装着が可能
ホンダN-BOXの純正アクセサリ「オールシーズンマット」。縁高タイプは、フロアカーペットマットとの同時装着が可能

純正マットならではの安心感は代えがたい

 メーカー純正のカーマットは、例えば、軽やコンパクトカーだと2万~3万円、ミドルクラスSUVだと4万~5万円、ラージミニバンだと10万~13万円ほど。何百万という車両価格からすれば安いものだが、それでも購入に抵抗を感じる方は多いだろう。

 そのため、「安いものを」とアフターメーカー品を使用している方もおられるようであるが、その場合もかならず、ズレ止めのクリップやフックがあり、ペダルを避けるようにフィッティングが完璧に作られているものを使うようにしてほしい。

 10年ほど前の話だが、平成22年に国土交通省自動車交通局が、自動車メーカーから報告のあった自動車不具合による事故・火災情報(全831 件、平成 21 年 9 月末時点)の中で、カーマットに起因する事故13件を調査し、実車再現・解析をしている。

 その結果、多くの原因は、カーマット未固定によるペダル干渉で、なかでも未固定の縁高マット(マットの縁に厚みがあるもの)の危険性が高い、と結論付けられた。やはり固定されていないマットは危険であり、また、マットに段差があると、とっさのペダル操作に支障をきたす、ということなのだろう。

 アフターメーカー品であれば、しっかりとフィッティングするものであっても、メーカー純正品の半額程度で入手できるが、それでも筆者はやはり、メーカー純正品をお薦めしたい。それは、メーカー純正品は、日々交通事故と向き合い、事故リスクや事故による被害軽減を目指して研究をしつづける自動車メーカーが提供しているものだからだ。

 メーカー純正のカーマットは、自動車開発のエンジニアが、カーマットによって考えられる危険を洗い出し、リスクを限りなくゼロにできるよう、クルマのフロアの素材との組み合わせや、毛の長さ、形状、素材、クリップやフックの強度設計などが行われている。

踵が当たる部分は毛を短く、その他は毛を長くすることで、耐摩耗性と高級感を両立させている。純正カーマットは少し高いが、間違いはない
踵が当たる部分は毛を短く、その他は毛を長くすることで、耐摩耗性と高級感を両立させている。純正カーマットは少し高いが、間違いはない

 もちろん、アフターメーカー品であっても安心して使用できるものもたくさんあるし、純正品より高品質なものもある。しかし、安全かどうか調べるのが面倒、という方は、メーカー純正品を使用してほしい。

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