今年は東海以西と関東以北では梅雨入りの時期がすいぶん遅れた一方、平年より早く、7月13日には九州北部(山口県を含む)と中国地方、14日には北陸地方は梅雨明けし、16日には関東甲信地方と東北地方が梅雨明けした。
梅雨明けの後は、焼けつくような猛暑がやってきた。35℃以上の猛暑日になると、注意したいのが車内の温度。炎天下にクルマを長時間駐車した場合、車内の温度は50℃以上に達し、熱中症の危険もはらんでいる。
そこで、車内の温度を上げないようにすることはできるのか? 身近なサンシェードやドアの開閉だけで温度は下がるのか?
また50℃以上に上がってしまった車内の温度を早く下げるにはどの方法がベストなのか、熱中症になってしまったらなど、炎天下における車内で注意しなければいけないことなどをモータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/JAF、高根英幸、ベストカー編集部、Adobe Stock
【画像ギャラリー】夏の暑さは命に関わる! 画像で大事なポイントをチェックだ!!
■駐車すると、何分で車内の温度は50℃を超える?
30分も停めていれば、車内の温度はグングン上昇し50℃を超えることが普通に起こる。放っておけば最高気温25℃の日でも、車内の温度は70℃を超えることもあるほどだ。
クルマのキャビンはガラス面積が大きく、温室のようになっているうえに、ルーフやフロア、ドアパネルなどの断熱も建物ほどではないから、陽射しや路面からの輻射熱などが室内へと伝わりやすいのも理由だ。
外気温がそれほど上昇しなくても、クルマの室内は温度が上昇しやすいため、1、2時間も晴れ間が続けば、室温は急上昇するのである。
薄曇りの天候でも、真夏はジリジリと暑さを感じる。都市部では夜間も気温が下がらないヒートアイランド現象が常態化して、昼間の気温上昇に拍車を掛けている。
それはクルマも同じで、常に外気や周囲からの輻射熱で暖められているから、ちょっと晴れ間が見えただけでも室温が上昇するのである。
車内が暑すぎると運転するのに支障が出るほどになることもある。ステアリングが熱くて触れないとか、汗が噴き出してメガネがくもったり、汗が目に入るのは視界を奪われるので危険だ。
ベストカーが過去に行ったテスト結果を紹介しておこう。最高気温が36.4℃を記録した2019年7月13日、正午から午後3時という、この日一番の暑さになると予想された時間に行った。テスト車両は、白いカッティングシートがボンネットに貼ってあるオレンジのハスラーと、黒いボディのBMW318iだ。
どちらも窓を閉めてテストを実施すると……、車内温度は表のとおり、318iの温度がぐんぐん上がり室内温度はなんと60.8℃まで上昇。あまりの灼熱ぶりにシートに座ろうものならヤケドを負う可能性もあるレベルだった!
約70℃のボンネットにも実際に触ってみたが、1秒以上は触れられないぐらいの熱さ。気密性と色の問題か、軽自動車よりも高級車のほうが暑いという結果に。
残念ながら1時間半を経過したところから雲が多くなり、日差しが遮られたことでクルマの温度が低下してしまったが、それでも室内温度はハスラーが44℃、318iが52℃と長時間車内にいることは厳しい温度のままだった。
JAFが行った「真夏の温度ユーザーテスト」(引用:JAF)の情報も合わせて紹介しておきたい。
天候は晴れ、気温が35℃、午後12時から4時間、駐車条件の異なるミニバン5台を用意し、各車両の室温を25℃に抑えて、車内温度のテストを3つ実施している。
車内温度は対策なし(黒)が車内最高温度57℃、対策なし(白)が52℃、サンシェードを装着していても50℃、3cmの窓開け対策が45℃と、いずれも車内温度の上昇を防ぎきれていない。これでは人および犬や猫などの動物が車内にいた場合、危険なことがわかる。
一方、エアコンを作動した場合には、車内最高温度が27℃と、対策なしの57℃に比べ、車内温度の上昇を大幅に防いでいることがわかった。
とはいえ、エンジンをかけたままでエアコンを作動し、駐車するのは排ガスなどの環境にもよくないばかりか、ガス欠や誤操作でクルマが動いてしまう場合があるので注意が必要だ。
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