輿(コシ)を組んだ宮型霊柩車をまじまじと見てみよう
今回、国内2番目の規模を持つ霊柩運送業者である名古屋特殊自動車に協力を仰ぎ、この会社が所有する100台を超える霊柩車のうちの一台の撮影を行った。愛知県西部を中心に営業所を展開しているこの会社では、この金ぴかの宮型霊柩車(特金車)は6台も所有している。
仏壇なども地方毎に特徴があるが、この宮型霊柩車も輿の部分が他とは違う特徴がある。関東などでは、車両後部のウエストラインやウインドウのラインの上に輿を載せるタイプだが、この尾張(名古屋)地方の宮型霊柩車は、ベース車両の下側の低い部分から輿の一部となっているデザインが特徴である。
ちなみに、この車両の3サイズは全長5420×全幅1840×全高2360mmとなる。ホイールベースの延長はなく、リアオーバーハングの延長で対応している。フェンダーミラーでは見ることのできない死角も多く、屋根の張り出しや車両の最高点となる鬼瓦部分への注意も必要だということで、この会社でも運転はベテランドライバーが担当している。
洋型に比べ、宮型霊柩車の製作費は圧倒的に高い
この輿に使われている金箔は24金。もちろん、そのままでは天候などの影響を受けるので、上から保護剤が掛けられており、本来の輝きを若干失っているが、それでも陽が射すときれいな輝きを発する。宮型という呼称の通り、銅板葺きの屋根はお宮のような造りで、一枚一枚銅板を貼り付けた板金屋根としている。
宮型霊柩車の製造コストは洋型霊柩車の比ではなく、輿の部分だけで1000~2000万円はかかるという。さらに利用減少もあって、宮型霊柩車を作るコーチビルダーがいなくなってしまっており、現在宮型霊柩車を所有している会社でも、今あるものを丁寧に使っていくしかない、という。ベース車両の変更に対して、輿自体は載せ替えが可能ではあるが、残念ながら総じてあまり明るい未来とは言えない。
乗ってみたい、と思っているのならば遺言というカタチで家族に「最期は宮型霊柩車に乗りたい」と宣言しておこう。その行動が宮型霊柩車の存続につながる、かもしれない。
【画像ギャラリー】永久保存版!! これが宮型霊柩車のディテールだ(3枚)画像ギャラリー
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