■1作目では「持ち出し」だったポルシェ
もうひとつ、車ファン的に注目したいパターンがポルシェ。1作目のときのマイクの愛車はポルシェで、2作目はなぜかフェラーリ575Mマラネロ(スタントシーンでは550マラネロが使われた)になり、3作目では再びポルシェになった。
1作目のときはスタジオ側が製作費の関係でポルシェを借りたがらず、製作側も資金がなく、ポルシェ側もサポートを断ったので、仕方なくベイが自分のポルシェ911を貸すことになったと言われている。
ベイもスミスもまだ映画界では駆け出しだった時代らしいエピソードだが、もしかしたらベイは、それが苦い思い出になり、再び自分がメガホンを取った2作目はフェラーリに変更したのかもしれない。ちなみにベイは1作目の自分のポルシェを撮影終了後、友人のプロデューサーに売却している。
3作目となる『バッドボーイズ フォー・ライフ』ではもちろんそんなことはまるでなく、ポルシェは新型の911カレラ4Sを提供。オープニングからスミス&ローレンスがこの車でマイアミの市街地を大暴走する。
陸はパトカー、海はジェットボート、空はヘリと三方面から追いかけられつつ、道路はもちろんビーチも路地も通り抜け、ワケあって病院に急行する。
刑事が警察に追われるという、いかにもバッドボーズらしいエピソードから物語は幕を開けるのだ。
今回の物語は、その病院に急行したワケが大きなフックになっている。そもそも家庭人だったマーカスに初めての孫が生まれたことでより家庭人になり、マイクとチームを解散。ひとりになったスミスは、そんな彼を連れ出し、連続殺人事件の謎に挑戦する。
この連続殺人事件にも「家族」が大きく関係していて、これまでの2作よりもドラマチックな展開。が、だからといってアクションが手抜きになっているはずもなく、むしろヴァラエティに富んでいるといえるかもしれない。
■夜のマイアミを舞台に繰り広げられるアクション&カーチェイス
なかでもハイライトは夜のマイアミの繁華街で展開するカーチェイスだろう。バッドボーイズはクラブから拝借したアウディに乗って、バイク(ヤマハMT-09)を追跡。続いてふたりは車からサイドカー付きのバイクに乗り換えてバイクの一団と大チェイス。
なぜかサイドカーには銃器や手りゅう弾が隠されていて、マイク&マーカスはハンドルを握りつつ、敵と銃撃戦を繰り広げるというアクロバットなワザを見せ、トンでもない手段に出るラスボスと最後に!? という展開。
アクションもサイドカーの特性を活かしていて新鮮&ハラハラドキドキのシーンになっている。
本作、当初はシリーズ最終話という触れ込みで公開したが、興行面のみならず、クオリティ面でもいい評価を受けたことから、すぐに「4」の話が浮上。本家本元のマイケル・ベイが舞い戻りメガホンをとる可能性大とも言われている。
●解説●
マイアミ市警の名物コンビ、“バッドボーイズ”ことマイク&マーカス。あるとき、マイクは何者かに撃たれ九死に一生を得る。マーカスは市警を辞め平穏な日常を手に入れるつもりだったが、マイクの犯人捜しに駆り出されてしまう。同じような殺人事件が次々と起こり始めていたのだ。
ベルギー出身の監督アディル・エル・アルビとビラル・ファラーのコンビは本作の大成功で、DCコミックの映画化『バットガール』の監督に抜擢された。
ちなみに、本作ではメガホンを取らなかったマイケル・ベイは役者として出演。マーカスの娘の結婚式での司会者を演じているのみならず、このシーンのみベイ自身が監督したという。
1作目ではクレジットのビリングはローレンスがトップで、二番目がスミス。2作目はふたりの名前が並び、3作目ではトップがスミス。ギャラはローレンスが2作目で2000万ドル、3作目では600万ドル。
一方、スミスは1作目が200万ドル、2作目が2000万ドル+売り上げの20%、3作目は1700万ドルとなっている。映画のヒット、俳優の人気がダイレクトにギャラに影響することがよーくわかる数字だ。
また、スミスはポルシェで米国の配車サービス「リフト」にドライバーとして参加。もちろん、利用者には知らされていないので、呼んだ車がポルシェで驚き、そのドライバーがあのウィル・スミスというのでまた驚くというびっくりのWパンチ。
映画のプロモーションだったのだが、彼とポルシェを引いた人は飛び上がって喜んだはずだ。
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発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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