仁義なき骨肉の争い? 兄弟げんかをしちゃったクルマの天国と地獄

トヨタ製ミニバンの覇権争い? 「アルファードVSヴェルファイア」

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トヨタ アルファード。写真は2015年にリリースされた現行型3代目モデルだが、近年のトヨタ車らしく迫力に満ちたルックスに仕上げられているのが特徴だ

 トヨタが販売する大型ミニバンのアルファードとヴェルファイア。この2台もプラットフォームを共有する兄弟車で、登場はアルファードが先。アルファードが2代目にモデルチェンジする際に派生したのがヴェルファイアだが、アルファードが高級感のあるルックスだったのに対し、ヴェルファイアはより若者向けの厳つい見た目を特徴にしていた。

 トヨタのこの戦略は功を奏し、2008年に登場したヴェルファイアは好調なセールスを記録した。実際、2015年のモデルチェンジを迎える頃にはヴェルファイアの販売台数はアルファードのそれを上回っていたほど。そういう意味では兄弟車の住み分けはうまくいっていた。

 だが、この状況に変化が訪れる。当初は高級感をウリにしていたアルファードがヴェルファイア寄りへと舵を切り、攻撃的なルックスへと変貌していった。さらに2020年にトヨタが全店全車種販売を決定したことも転機になった。

 販売店の数ではアルファードより優位にあったヴェルファイアだが、いざ全店販売が始まると、アルファードは2018年のマイナーチェンジによってついた弾みに拍車がかかり、好調に売れ行きを伸ばしていった。実際ヴェルファイアからアルファードに乗り換えるケースもあり、現在ではアルファードが完全に上位に立っている。

 この結果、ヴェルファイアのグレードは1種類のみに縮小され、今後は消滅してしまうというウワサすらある。今後の再逆転は考えにくく、この兄弟げんかに関してはアルファードの勝利と言える。

カモシカは乙女に勝てず……「日産 シルビアVSガゼール」

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S12型日産 ガゼール。型式からもわかるように、S12型シルビアの兄弟車だ。写真のモデルにはパワフルな2リッター直4ターボエンジンが搭載されていた

 日産が販売していたスポーティモデルのシルビアは、1965年から2002年まで販売していた2ドアモデル。長きにわたって人気車種の1台として君臨していたシルビアだが、このモデルには良く知られる180SXのほかにも兄弟車があった。3代目のシルビアが登場した1979年、同車と共通のコンポーネンツを使用しながら、装備が異なる上級モデルとして発売されたガゼールがそのクルマ。

 ガゼールは当時放送されていた人気番組・西部警察の劇中に登場したことで注目を集め、シルビアが4代目へとモデルチェンジするとガゼールもまたリニューアルされた。しかしシルビア&ガゼールのメインターゲットでもあった若者からの支持はシルビアのほうが熱く、ガゼールはシルビアに吸収されるかたちで販売を終了した。

 ガゼールの名称はカモシカの仲間に由来する。しかし雄々しいカモシカも流麗なボディを持つ乙女(シルビア)の魅力にはかなわなかった。

販売終了後の逆転劇「トヨタAE86トレノVSレビン」

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トヨタ AE86カローラレビン。名称からわかるとおり元々はトヨタ カローラの派生車種だったが、本家カローラがFF化されてもこのAE86はFRが採用された

 2023年には発売40年を迎えるトヨタのAE86スプリンタートレノ&カローラレビン。どちらも今だに高い人気を誇るクルマだが、この2台を比較すれば圧倒的にトレノの人気が上。だが、“ハチロク”が現行車として販売されていた時代にはレビンが販売台数でトレノに差をつけていた。

 実際にAE86レビンの販売台数はトータルで6万6000台。対するトレノは3万5000台と、レビンのほうが倍近く売れているのである。これにはさまざまな理由があるが、現役時代はレビンの勝利に終わっている。

 しかし、AE86の生産終了から7年、とある作品の連載が青年コミック誌で開始される。峠を攻める街道レーサーの青春を描いたその作品「頭文字D(イニシャル・ディー)」において、主人公が駆るマシンが白黒ツートンカラーのAE86トレノだった。パワーに勝るライバル車を驚異的なテクニックで打ち破る主人公機の通称・パンダトレノは、またたく間に人気を集めた。

 頭文字Dはあくまでフィクションではあったが、この人気は実車にも波及し、ついには中古車の人気と価格もトレノがレビンを凌駕するようになる。この状況は現在も変わらず、AE86と言えばトレノというイメージを持つ人のほうが圧倒的に多い。

 AE86トレノ自体魅力の多いクルマだが、レビンがそれに劣るということはない。だが、AE86の中古車市場では、トレノがレビンよりも高額で取り引きされている。

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