ついにトヨタのクラウンがフルモデルチェンジ! 先日発表された新型クラウンは、従来の高級車路線を踏襲しつつも4タイプのモデルをラインナップすることにより、新たな展開を見せることになる。
そして注目したいのが、セダンやクロスオーバーなどに加えて「エステート」がラインナップされること。かつて人気を誇った「クラウンエステート」の復活には心躍るファンも多いはず。では、このクラウンエステートにはどんな歴史があり、そして復活するクラウンエステートとはどのようなクルマなのだろうか?
文/長谷川 敦、写真/トヨタ、FavCars.com
【画像ギャラリー】復活したクラウンエステートの歴史を見る!(14枚)画像ギャラリー新世代のクラウンで待望の復活
2022年7月、トヨタから新型クラウンが発表された。一時期はSUVへの一本化、あるいはシリーズ消滅などというウワサもあったが、これまでのイメージを一新した新世代のクラウンとして、今秋からの発売がアナウンスされている。
今回発表された新型クラウンは「セダン」「クロスオーバー」「スポーツ」、そして「エステート」の4モデルが用意されることが決まっているが、クラウン好きが見逃せないのがエステートの復活だ。2007年にいったんクラウンのラインナップから消えたエステートとはどのようなクルマだったのだろうか?
エステート=ステーションワゴンでOK?
クラウンエステートの登場は1999年。クラウンのフルモデルチェンジに併せて、以前はクラウンステーションワゴンと呼ばれていたモデルも12年ぶりにモデルチェンジされることになった。このリニューアルに伴い、名称もステーションワゴンからエステートに変更された。
そもそもステーションワゴンとは、その名称どおり駅(ステーション)で使用されるワゴン(貨車)のことで、駅に到着した荷物を目的地まで運ぶためのものだった。これに由来して、ルーフを後部まで延長して、より荷物を載せやすくしたクルマがステーションワゴンと呼ばれるようになった。
ステーションワゴンは主にアメリカで用いられていたクルマのカテゴリー名であり、イギリス英語の文化圏では同じタイプのクルマをエステートと呼んでいる。つまりステーションワゴンからエステートへの名称変更は、米英語から英英語に変わっただけとも言える。ちなみにエステートには「地所」や「財産」などといった意味がある。
なぜ初代クラウンエステートは人気車になったのか?
クラウンエステートの最初のモデルは、クラウンでは通算11代目にあたるS170系をベースにしている。発売は前述の1999年で、当初はロイヤルサルーンとアスリートの2グレードが用意された。ただし、ロイヤルサルーンは2001年のマイナーチェンジで廃止されている。
ロイヤルサルーンはどちらかと言えば年齢の高いユーザー向けに作られていて、各部の作りに“ロイヤル感”があった。そしてよりスポーティに活用したい人のために開発されたのがアスリート。役員の移動用など、社用車として使われることが多かったセダンに対し、個人ユーザーがメインになることが想定されたエステートではアスリート系モデルが充実していた。
ロイヤルサルーンとアスリートの主な違いは外観と足回りであり、アスリートの顔つきはロイヤルサルーンよりもやや厳つく、足回りも硬めに仕上げられていた。こうした事情もあってクラウンエステートではアスリートがメインになり、それがロイヤルサルーンの廃止につながった。
クラウンエステートの魅力は、他の国産モデルにはなかった高級車のワゴンモデルだったことだ。ベースとなっているのが日本を代表する高級車のクラウンであり、車体やエンジンなどのクオリティは一級品。オマケに荷物積載量などの機能性に優れたワゴンとくれば、これはもう魅力的なのは間違いない。
本来がサイズに余裕のある高級セダンだけあって室内や荷室スペースを十分に確保することができ、発売当時で最も出力の低い2.5リッター自然吸気エンジンでも200psのパワーを発揮し、重めの車体も軽々と加速させた。さらに2リッター直6ターボエンジンは280psを叩き出すなど、動力性能は申しぶんなかった。
難点といえば他の国産ステーションワゴンより車体価格が高いことだったが、これはクラウンの派生モデルであることを考えると仕方なく、価格に見合う内容のクルマではあった。
こうした理由により、クラウンエステートは爆発的な売り上げこそ記録しなかったものの、根強い人気を獲得し、本家クラウンが12代目にモデルチェンジされた2003年以降も独自路線でマイナーチェンジを続けた。
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