参考出品したタイヤはパンク防止タイプとウエット専用の2タイプ
4輪の世界ではあまり聞きなじみがないと思うが、iRC は1926年(大正15年)創業のゴム、ウレタン、プラスチック、複合素材をベースとした開発、製造を行うタイヤ&チューブメーカー、井上ゴム工業が展開しているブランドである。小型2輪を中心としたオートバイや自転車、車いす用タイヤを得意としシェアを伸ばしているメーカーであり、このエコラン専用タイヤでも記録を残している。
今回、エコノマイレッジの会場に出展された、そのブースには、参考出品という注意書きが付いたタイヤが並んでいた。iRCではこれまで、転がり抵抗を徹底的に低減したエコランカー専用タイヤ「EC-R」をリリースしている。基本的にはこの1種類ですべてのエコラン大会をこなしてきたわけであるが、参考出品したのは、なんと2種類なのである。
2種類は基本的には「EC-R」の派生モデルと言える。ちなみにEC-Rはトレッドからサイドウォールまで徹底的に軽量化を追求し、トレッドのコンパウンドも低転がり抵抗とハイグリップを実現しているモデルである。20インチモデルで210g、14インチモデルで155gという重量である。
参考出品された2本は、1本はトレッドが赤いモデル。この「EC-R WETタイプ」と名付けられた1本は、「EC-R」のウエット路面用モデル。「RICE BRAN(米ぬか)」由来の硬質超多孔性炭素素材を使用したタイヤ。RBCC(RICE BRAN セラミック粒子)は硬質であるためマイクロスパイク効果を発揮し、多孔性であることで吸水効果も優れ、ウエット路面でも高いグリップ性能を誇るとしている。
そしてもう一本は「EC-R 耐パンクモデル」と解説があった。こちらは、「超低ころがり抵抗コンパウンド」をベースに、タイヤが接地するセンタートレッドのゴム厚を既存の「EC-R」の約1.3倍に厚みを増したモデルとなる。ともに参考出品としながらも、参考価格が1万1660円(20インチ)、1万3970円(14インチ)という表記も見られた。
EVの性能向上に伴いエコラン専用タイヤへの要求性能が向上
この開発について、実はこのエコノマイレッジではなくワールド・エコノ・ムーブ(WEM)という競技での要求性能が上がっていることがきっかけだという。このWEMは電気自動車のエコラン大会である。大会側から支給されるバッテリー(144Wh)もしくは水素ボンベ(110NL)を用いて、モーター駆動で2時間のレース時間内に走る距離を競うもの。
燃料が2種類あることからもわかる通り、電気自動車といっても、BEV(バッテリー式の電気自動車)とFCV(燃料電池車)の2種類が存在する。ここでの電気自動車の向上シロは大きく、タイヤについてもその要求性能が向上していることから、この2本のコンセプトについても、電動車両への供給をベースに開発が進められたという。
電動車両の性能が上がっていくことにより、要求としてパンク防止、そしてウエットグリップの性能を、軽さよりも求めていくことは必然。電動車の要求に合わせてエコラン専用タイヤも進化していくのだろう。
内燃機関車は、電動車の要求と違うかもしれないが、電動車に引っ張られる形で、これらエコラン専用タイヤがバリエーションを広げていくことはウエルカム。今回の「Hondaエコノパワー燃費競技大会」では大きな記録更新はなかったものの、近い将来、このタイヤの性能向上によって、我々を驚かすような記録が出ることを期待したい。
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