■もうガソリンエンジンはポルシェにはいらない?!
さて、4L、NAの雄叫びが耳に残り興奮冷めやらぬなか次に試乗したのは、BEVのタイカンターボクロスツーリスモである。
ポルシェ初のBEVモデルとして登場したタイカンに追加された、ステーションワゴンモデルがクロスツーリスモで、2021年3月から予約受注が開始されている。
このクロスツーリスモは1212Lの広いラゲッジルーム、タイカンから47mm高くした後席のヘッドルームを備え、最低地上高はタイカン比約20mmアップし、オプションのオフロードパッケージを選択するとさらに10mmアップするとともにオフロード走行用のグラベルモードが追加される。
車名にターボと名が付いているが、もちろんターボチャージャーが搭載されているわけではない。パワートレインは前後アクスルにモーターを搭載した4WDモデルで、最高出力は625ps、ローンチコントロール稼働時の最大ブースト圧にすると680psまで高まる。
バッテリーはパフォーマンスバッテリー+と呼ばれる総容量93.4kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載されている。航続距離はWLTPモードで395~452km。
走り出した瞬間からその静粛性と、大柄なボディながらアダプティブエアサスペンションによる恩恵で、しっとりとした上質な乗り心地に驚かされる。
進入路から高速道路に入り、加速していくとモーター音はするものの、とにかく静か。高速道路の繋ぎ目を乗り越える際のいなし方はこれだけの重量にもかかわらず、ショックは少ない。
さて、911GT3の加速と比べてどうか?
走行モードはノーマルモード、減衰力が高まるスポーツモード、航続距離が最大になるように調整されるレンジモードなどがあるが、ノーマルモードでもアクセルを強く踏んだ瞬間、加速Gでのけぞるほどの強烈な加速だった。
公式データでは0→100㎞/h加速は3.3秒、最高速度は自主規制枠の250㎞/h。0→100㎞/h加速は911GT3に比べ0.1秒速いだけなのだが、体感的には、タイカンターボクロスツーリスモのほうが3馬身くらい速く感じた。
「もうBEVのタイカンターボで充分じゃないか、内燃機関究極のRRのガソリンNA、911GT3でさえも完敗か」と頭をよぎったが、やはりタイカンクロスツーリスモはスポーツカーというより、グランドツーリングカーなのである。
人とエンジン、車体が一体になって、ステアリングを切ってコーナーを駆け抜ける心地よい研ぎ澄まされた、ポルシェらしいスポーツフィールは、911GT3のほうが圧倒的に上だった。
とはいえ、確実にBEVの時代が進んでいる。2022年のポルシェの全世界の販売台数をみると、タイカンの3万4801台に対し、911シリーズは4万410台、パナメーラは3万4142台と、BEVのタイカンが追い越す時はすぐそこまで来ている。
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